第24話 スタンピード生成
「ひゃ~っはっは~、見ろよあれを!凄まじいスタンピードが出来上がったぜぇ!」
スタンピードを見下ろしながら気持ち悪い大仰な動きでカメラを回しているのは
:ゴミクズくん、今日もスタンピードづくり乙
:ゴミクズくん、スタンピード作るのうまいっすね
:ゴミクズ!なにしてんだよ!バカか!?
:探索者がみんな逃げてる。ウケる~
:ウケねぇよ!死んじまうだろ!なにやってんだよゴミ!!!!
:はい、真面目探索者乙
なんとこいつは、リッチにボコられた腹いせに新宿ダンジョンにもう一回潜って20層でスタンピードを作り出した。
そんな配信を主に一般の人たちが面白半分で見ていた。
彼らの多くは傲慢な探索者に何かしら不満を持っている者たちであり、探索者が不幸な目に合うと飯が美味いと言う捻くれた者たちだった。
「あ~っはっはっは~。俺のこの硫黄弾があれば、スタンピードづくりなんか楽勝よ!」
:なるほど。魔除けにもなる硫黄を使ってモンスターを暴走させていたのか。
「そうだとも!なぜか多くのモンスターが嫌っている硫黄とその効果を増幅するこのクズ魔石をくっつけて開発したのがこの硫黄弾だ!まだまだいっぱいあるからな!」
:リッチ様には効かなかったけど、やっぱモンスターには効果抜群なんだな!
:リッチだって当たってたらヤバかったんだろ?だからあんなに入念に
:なるほどな!
「俺様が入り口に帰されたときに笑いやがった探索者どもにお仕置きだぁ~!!!」
仰々しい気持ち悪いくねくねした動きで
:うわぁ、クソな理由でさすがクズって思った
:いよっ、クズを極めし男!
:今日新宿ダンジョンに入った低ランク探索者乙
:ダンジョンは何があっても自己責任だぜ?
:普段、探索者様だ~って威張ってんだからせいぜい頑張れよ~
:ふざけんな!死に物狂いで、文字通り命をかけて探索してるんだぞ?
:だれも頼んじゃいねぇよ!勝手にやって、勝手にイキって、勝手に死んでんだろ?
:探索者なんて全員ロクでもないやつばっかりよ!
「さぁ、どんどん大きくなるぜぇ~」
そう言って、
そして硫黄弾を喰らったり、避けたりした魔物たちは、近くを通るスタンピードに自然に合流していく。
スタンピードの仕組みは解明されてはいないが、明らかにモンスターの混乱は伝染し、一様に暴走していた。
:もうすでに1,000体くらいいるんじゃねぇか?
:最近、ダンジョン浅いとこでもモンスター多いもんな~
:龍が言ってた通り、ダンジョンの難易度上がるんじゃね?
:ダンジョン協会の偉い人も言ってたもんな
:なんだっけ、あぁ、あれだ。湊って人。
:でも、そのおかげで私の会社、ダンジョン内に移転するのやめてくれたから助かったわ
:もしダンジョン内に移転なんかしてそこに
:おい、なんか凄まじいモンスターいねぇか?あそこ?
:でっけ~
「なななっ」
その姿を見て
最悪だ。
そこにいたのは巨大なオーク……30mを超えるそのサイズは、オークタイタンだ。
:やばいんじゃね~か?スタンピードのモンスターを一網打尽にされそうだぜ?
:振り下ろしたこん棒で20体くらい飛んでった~~~
:やべぇ!
:そうだよ!ビックリしてんじゃねぇよ!
:やめろ!ゴミクズ!それ以上スタンピードを大きくするな!
:マジでクズかよ!
「ふざけんなよ!?やってやる!俺はやってやるぞぉ~~~!!!!!」
オークタイタンのあまりの巨体と、強力な攻撃に動転していた
オークタイタンはその硫黄弾をこん棒で叩き割った。
叩き割ってしまった。
周囲に広がる硫黄の増幅された強烈な匂い……。
それを避けて再び走り出す混乱したモンスターたち。
そしてオークタイタンもスタンピードに加わってしまった。
「やったぜ!まだまだ行けるぜ!」
そして
彼は高揚感に当てられたのか、くらくらしながらついて行く。
硫黄弾を投げ散らかしながら。
だから彼は気付かなかった。
自分が何の上に走って登ってしまったのかを。
そもそも地面が少し揺れていることにすら気付かなかった。
そして、"それ"は硫黄の不快感からゆっくりと立ち上がった。
:おい、なんだよこいつ
:なんでこんなやつが新宿の5層にいるんだ?
:おかしいだろ。こんなの深層クラスじゃねぇか?
:オレ、前に早紀さんの動画でみたことあるぞこいつ……。
:俺もだ……
:Sランク探索者パーティーが総力を挙げて倒すクラスだろ、こいつ?
:早紀さんが10,000体の守護兵出して、皇一さんが複数の軍団スキルかけて何とか倒したんじゃなかった?
:マジで5層より上にいるやつら逃げろよ。踏まれて死ぬぞ?
:だよな……。
そこに寝転がっていたもの……
そして今、不快感全開で起き上がったもの……
それはゆっくりと起き上がり、
ダンジョンの入り口に向かって。
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