第21話 解体のインパクト
俺はオリヴィアの高速の斬撃をかわせず、なんと左腕を切り落とされてしまった。
「◆▽!」
:リッチ様!
:リッチ様の腕が!?
:きゃ~~~~
俺は落ちた左腕は無視して転移で大きく回避する。追加攻撃を喰らってもいいが、なにか嫌な予感がした。
そしてその予感は正しかったようだ。
俺の左腕はそのまま黒い魔力になって消え……ることなく、なんとフランチェスカが持ち上げる。
なんだと?まさか……?
:えっ?どういうこと?
:なに?リッチ様の左腕だった骨をあの女が持ってるけど、なにかおかしいの?
:まさか……?
「ふふふ。驚いているかしら?これは解体よ?」
マジかよ。
:うげ~、やばいじゃん!
:どうしたの?なにがやばいの?
:探索者じゃないと分かんないよな。よし、解説をしてやろう
:通常、モンスターは殺されると黒い魔力になって消えるんだ。それは知ってるよな?その現象は、モンスターの切り落とされた部位とかでも一緒なんだ。だからモンスターの肉を切って食うっていうのはできない。でも、それを可能にするのが解体スキルだ。これを使って切り落とされた部位は消えない。だから、食える!
:なるほど……それで政府もダンジョンの経済利用とか言って進めてる中にもモンスターの家畜化、みたいなの入れてんのか。ドロップ肉狙いかと思ってた。
:ビジネスでやるなら再生産できないとだめだからな。ドロップじゃ効率悪い。
:なお龍の発言でその計画はストップした模様。
:でっ、それでリッチ様を切り落としたということは?
:あぁ、解体スキルで斬られたらリッチ様は死ぬかもしれないが、黒い魔力になれない。つまり、復活しないかもしれない。
:なんだって!!!!!!!???????
:ダメよ、そんなのダメ!
:リッチ様!!!!
やばいな。解体はされたくない。
仕方ない、戦うか……。
「はぁっ!」
女は凄まじい勢いで大剣を振り回しながら突進してくる。
筋肉質で整った体だが、そこまでのパワーがあるように見えない。
探索者だから魔力でどうにかしてるんだろうな。
振るわれる大剣には魔力が纏わりついていて、きっと掠るだけで大ダメージだ。
俺は、その剣を防御系の魔法を使って防いでいく。
もちろん魔法攻撃も防いでいく。
:めっちゃ激しいwww
:ド派手ですな
:でっかい剣がリッチ様の張ってる魔法障壁にぶつかるたびに衝撃波みたいな大気の揺らぎができてますわね。
「くそっ!固いわね!」
全く攻撃を緩めることなく女が苛立たし気に叫んでくる。
「★□◇△▽○☆◆」
そこに俺は氷柱を撃ち込む。
弾かれるだろうが、ワンチャン避けて飛んでくれるかもしれない。
「ふんぬぅぁ!」
が、なんと剣の柄を持っていない方の手で受け止めて、ポイされた。
うんうん、怪力だね。
:やべぇwwwwww
:戦いが高度すぎて40層のレベルじゃない件
:こんなんみたらキッズたちが震えあがるわ!100層でやってくれwwww
:リッチ様ファイト!!!
俺は先ほどまでの回避一辺倒ではなく、隙を見て攻撃するし、隙を作り出そうと動いている。
しかしなかなか難しい。
この女は常に魔法障壁を展開しているし、生半可な魔法だと大剣にまとわりついた魔力で消されてしまう。
しかも長時間の戦闘はこちらが不利になりそうだ。
さっき切り落とされた左腕にはめていた魔力回復(大)の指輪とかの効果が失われてるのも痛い……。
ここは少し勝負に出るか。
「◆▽○★◇☆□△」
俺は特殊な魔法をかけた杖を女の方に差し出し、大剣にぶつける。
「なに?」
その瞬間、鐘を突いたような音が響き渡り、杖が震える。
ふっふっふ。行くぞ。
「★◇▽◆☆△□○◆・●▼※◇▲!(共鳴魔法 レゾナンス・インパクト)」
俺発音は理解できないだろうから理解できないだろうがな。
俺が魔法を行使すると、杖の共鳴は強まり震動は強くなる。
その震動が女の大剣を揺らす。
「なに?なんなの?なぜ大剣が震えてるの?」
それが共鳴だ。
ここからが俺の腕の見せ所だ。あいつが動揺している間に杖に魔法をかけて震動の波長を弄る。
魔力で杖とそれに共鳴する大剣の振動速度を上げていく。
そして……
バキィーーーーーン!!!!
女の大剣が折れた。
:なにぃいいぃぃぃいいいいいいいいい!!!!!!!!!
:えっ?なんで?
:もしかして共振破壊か?あの大剣を?
:リッチ様すげぇ!!!!!
しかし俺は手を緩めない。
女が剣を見て呆然としてる間がチャンスだ。
右腕に魔力を集め、具現化して放つ。
これはただただ強大な光魔法だ。いけ!
俺の右腕から人など軽く呑み込めるサイズの超高魔力の魔法が発射されて女をのみ込みむべく進んで行く。
「ぐっ、なめないで!この程度の攻撃では私は倒せないわ!」
なんと女は折れた大剣を無理やり地面に差し込み、それを起点にして重厚な魔法結界を貼りやがった。
さすが世界ランキング9位……やるなぁ。
これは反省回が楽しそうだ。
俺が放った魔法で部屋中がまばゆい光に包まれる中、女に薄く延ばした魔力をまとわりつかせて固定する。
っく、斬られた。
素晴らしい魔力探知だな。
しかしそれはお前をその場から動かせないための囮だ。
すでに完成した。
とどめだ。
俺は速度重視の無属性魔法の矢を放つ。次々に。
「うぉおらぁぁああああぁぁああああああ!!!!!!!」
それをなんとあの女、どこからか取り出した2本目の大剣を振り回して撃ち落としていく。
:なんだよあれwwwwww
:部屋全体が光ったと思ったら、リッチ様の周囲にたくさんの白い光が浮いててキレイ♡
:あれぜんぶ魔法攻撃ってことだよな?おっかね~~~
:順番に発射されてすさまじい勢いで飛んで行ってるのに全部大剣で撃ち落としてるのやばすぎだろwww
:さぁエースピッチャーのリッチ君。凄まじいコントロールを発揮しつつ、300km/hの剛速球を投げまくっているがぁ!
:それを全て打ち返すフランソワードさん。凄まじい熱戦ですね、はい。
:なんで野球なんだよwwwww
「くっ、埒があかないわね。うぉおらぁぁああああぁぁああああああ!!!!!!!」
:なんとバッターのフランソワ―ド選手!大剣を投げつけました~~~
:これは危ないピッチャー返しですねぇ
:リッチ様よけてぇえぇぇえええ
ふん、やるな。しかし、お返しだ。
:なんとピッチャーのリッチ選手。大剣の柄をつかんで投げ返したぁあぁぁあああああ!!!!!!
:いや、ごめん、なんで君たち見えてるの?
:なんか光ったり、凄い音がしたりしてるようにしか見えないんだけど
:【悲報】リッチ選手とフラン選手の攻防が凄まじすぎて一般の方には視認できない領域に突入
:これが探索者……(ごくり)
:いやいやいやいやいや。こんなの上澄みの上澄みだから。世界ランカーの戦いだから!
俺が投げた大剣を避けた女は、なんと素手で突っ込んできて俺に向かって拳を叩きつける。
俺はそれを魔法障壁で受けるが、拳が当たるたびに10枚くらいの障壁が壊される。
詩織:リッチ様……何枚の魔法障壁を貼っているんでしょうか?私、4枚で限界だったんですが……。
:あの当たるたびに光って崩れてるやつ全部、魔法障壁なのかな?
:魔力量がおかしいぞリッチ君!
ふむ、これは厳しいな。
指輪の支援を失ってるから回復も遅いし、このままだとジリ貧だ。
ここは次の勝負……
***
ここまでお読みいただきありがとうございます!
それでは早速、キャラ紹介の第八弾です!
えっ、そんなに登場人物いたっけって?いましたよ?まだ桃太郎の重要なキャラが出ていないですから!それでは紹介します。
名前:権田國彰<経済産業大臣>
太田:権田?この私を差し置いて権田!?
リッチ:いや、誰だよ。
皇ちゃん:7話参照だな(苦笑)
外見:でっぷりと脂の乗った老いた豚
役回り:まごうことなき悪役ムーブを披露している彼は当然ながら鬼!と思いきや、都で鬼に襲われて命を落とした商人だ。
リッチ:登場しないやつばっかじゃね~か!!!!
作者より:大変申し訳ございませんが『星に願いを』のコーナーは今回はお休みしまさせて頂きます。皆様におかれましては、どうかより多くの方にこの作品を見て頂くため、フォロー、星評価、コメント、応援など、よろしくお願いいたします。
リッチ:どうしたんだ?
作者:あんな豚からお願いさせても逆効果だろ!?
リッチ:おっ……おう(お前だって豚じゃねーか)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます