リッチ様の探索者育成譚~2回の異世界転生で地球に戻ったのにダンジョンのフロアボスになっていた最強の俺は、配信しながら超可愛い探索者たちを育てて世界崩壊を防いでやるぜ!

蒼井星空

第1話 新宿ダンジョンの40階に要注意!

よく来たな、人間の探索者よ!さぁ、お前たちを鍛えてやる。かかってこいよ!!!


俺はそんなことを考えながら4人組のチームに相対している。


彼らは少し緊張した様子でそれぞれの武器を構え、険しい顔で俺を睨んでいる。

対する俺は、右手を掲げて炎の玉を作り出しつつ、彼らの様子を見つめている。


なぜか俺のところにはなかなか人が来ないから、たまに来るこういうやつらを逃すわけにはいかないからな。


「くっ、なんて魔力だ……」

「来なさいリッチ!私が必ず防ぎきるわ。だから、みんなはあいつが魔法を放った隙に攻撃して!」

「「「おう!」」」」


中央で杖を構える見覚えのある女が指示を出している。

その声で、俺の魔法に気圧されていた他のメンバーが気力を取り戻したようだ。

ふむ、良いチームになってきたな。

鍛えがいがある。


:さぁ、どうなるかな???

:今日も素敵よ、リッチ様~!!!

:あの4人って、国内若手最高峰とか言われてるBランク探索者グループの"夢猫ドリームキャット"だろ?

:あぁ、どうりで見覚えが。

:詩織様がステキすぎる

:あんな小娘、リッチ様の敵じゃないわ。辱めに耐えられるわといいわね!

:えっ、まじ?リッチ様やっちゃうかな?俺ちょっとドキドキしてきた

:ふぅ……さぁどうなる!?

:ちょっ、やめろよwwww


みんな騒ぎすぎじゃないだろうか。

俺の目的は探索者を育てることであって、悪戯することじゃないんだ。


たしかに前回のむかつく連中なんかはやっちまったんだけどな。

致命傷は避けつつ魔法で吹っ飛ばした後、全裸にして積み上げたのはやりすぎだったか?


:モンスターが配信してると聞いて

:モンスターじゃなくてリッチ様よ!

:辱めるのはたいてい迷惑系だったり調子乗った系のやつらで、ほぼ男だろ?

:どこに需要あんだよ!?

:やられたやつらの中には、リッチ様への怒りから強くなって超えていったやつもいるからな……

:そもそもなんでリッチ様は”弱き人間どもめ!?俺が貴様らを育ててやるから死に物狂いでかかってこいやボケェ!”なんて配信チャンネル運営してんだろうな?

:知らんけど面白いからオールOK!

:たま~にあるエロ回含めて面白いからなぁ


エロ回はやらんぞ?

前にやったときは警告が送られてきて配信を1週間止められたからな。

ネットで調べる限り次にやったら2週間停止で、その次はアカウントBANのはずだ……。


そもそも俺が配信してるのはお前らのためなんだぞ?

俺の配信を見ている探索者たちに、俺の戦い方を教えてやるんだ。

特に俺が前世で身につけた素晴らしい魔力の使い方をな!


さらに眼立ちたがり屋のお前らをへし折って、場合によっては悪戯して、しかもそれを晒すことでお前らの闘争心に火をつけてやるからな!


なにせ、この世界の崩壊を防ぐためには、人間の探索者たちがもっと強くなる必要がある。

もっと気合入れろ!!

このままじゃやばいんだよ!!!



まぁ、そろそろるか。


俺は4人を視界に捕らえつつ、火の玉を放つ。


「来たわ!マジックシールド×4!」

中央にいた魔法使い……詩織は淡い水色の魔法の盾を展開する。

おぉ、4枚掛けか。

なかなかやるじゃないか。


そこへ俺が放った火球がぶつかって爆発する。

きっとあれなら耐えただろうな。


「今だ!詩織さんの作ってくれた隙を見逃すな!ホーリーアロー!」

「食らいなさい、悪魔め!セイクリッドスラッシュ!!!」

「うぉおぉぉおおおおお!聖拳弾!」

俺が爆発を見ていると、まわりの3人がそれぞれ聖属性の攻撃を放ってくる。


うんうん、俺は骸骨のような見た目で、黒いローブと魔力を纏っている……どう見ても闇属性のモンスターだから、聖属性の攻撃を選択した判断は正しい。


だけどごめんな。

そんな工夫のない攻撃を喰らってはやれないんだ。


俺は羽織っているマントをひるがえして転移する。


「くっ、トランスポートよ!次の攻撃を警かい……きゃぁ」

転移先は詩織の正面。


少しだけ遊び心を発揮して、どことは言わないが豊かな柔らかさを一瞬堪能した後、詩織を魔力で吹っ飛ばす。

彼女は俺が突き出した拳を攻撃だと警戒しただろうが、俺はリッチだからリッチらしく魔力で戦うぜ。


:いま触った!!!

:先生!リッチ君が悪いことしました!!!

:リッチ様……そんなに触りたいなら私の……

:リッチ、許すまじ(ギリギリ)


そして、周囲の3人にも魔力をぶつける。


「くっ、魔法でもない、ただの魔力なのになんでこんなに強力なのよ!?

 ウインドストライク!」

吹っ飛ばされつつ、詩織は体を回転させて着地し、風の魔法を放ってくる。

そして、触ったことに気付いてないな。ラッキー!


って、なかなか早いなこいつの風魔法。

やるじゃないか!

俺は飛んで魔法を回避する。


:おぉ!さすが詩織様だ!

:見たかリッチ!罪深き行動の報いを受けろ!

:いや、リッチ様、余裕で回避してるし、慌ててもないわよ?

:なん……だと?

:いや、リッチ様強すぎだろwwww

:詩織ちゃんたちBランクってことは60層は突破経験があるはずなのに新宿ダンジョン40層ボスのリッチ様に手も足も出てないんだが……。


ふっふっふ。

俺は人間を鍛えるつもりだからな。

ある程度、低い層で登場しないと誰も来なくて暇を持て余すことになりかねない。

日本には高位の探索者が少ないのだ。

 

ん?なんで魔物が人間を鍛えてるのかって?

それは話すと長いから要約するが、さっきも言ったようにこの世界がそう遠くない未来に崩壊するからだ。

太平洋の上に浮かんでる龍の姿をした迷宮神の手によってな……。


俺は元人間として、それを食い止めるためにここで人間を鍛えてるんだよ。

だから人間ども、頑張って強くなれ!

もっと気合入れろ!



とりあえず魔力弾を乱発しておく。

彼らは良いチームだが、まだまだ力が足りないな。

ここはモンスターとしてきちんと壁になってやろう。


「今日はここまでだ。見せてやろう、炎と雷の合成呪文を。くらえ……」


 <戦闘終了です。挑戦者は全員戦闘不能に陥ったため、設定に基づいてダンジョン外に転送されました>


っておい!


俺の見せ場は???



:なんかすげぇの使おうとしてたけど終わってんの草

:『あっれぇ???』って顔ウケるwwwwwww

:そもそもすさまじい魔力量を誇るリッチ様の魔力弾連発にBランク程度の探索者が耐えられるわけないのよ!

:今日も素敵でしたリッチ様♡


おっ、おう。


くそっ、仕方ない。

詩織たちにはあとでアドバイスを送ってやるとして、次だ次。



--------------------------------------------

|次回予告            |

|可愛い探索者来訪!       |

|果たして探索者の運命はいかに!?|

|こうご期待!          |

--------------------------------------------

|(-w-)


 

:なにやってんだあのリッチ?

:なんかでっかい旗掲げてるのウケるwwwwwwwwww

:お前初見か?いつもやってるぞ?

:やって来るのも、運命を心配されるのも両方とも探索者の方なの?wwwwwwww

:ある意味正しいけど、予告やってるのがボス(笑)

:次は誰だろうな~ムカつく迷惑配信者だといいな~





え~と、

自己紹介するのを忘れていたが、俺は間野砦弥まのとうや

なぜかこんなところでボスモンスターやってる元人間で、世界崩壊を防ぐために人間を鍛えているリッチだ!

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