幕間 主の意向

 ベリィ・アン・バロルが生きていた。


 奴隷市場の事件から予想はついていた事だが、これ程までに勢力を伸ばしているのは想定外だったのだ。


 我々にとって、最も重要すべき不安要素が、あの公爵令嬢の知恵の眼では無くなった事は大きい。


 ベリィ・アン・バロルの生存を確認した時点で、直ぐにでも抹消しておくべきだった。


 しかし、ベリィ・アン・バロルが生きている事をしゅに知られてしまったからには、もう手遅れである。


 主は、ベリィを仲間に抱き込むと仰った。


 ワタシとしては、あの不純物は直ぐにでも殺しておきたいところだが、確かにベリィという戦力が加われば、恐らくにも太刀打ちできるだろう。


 不本意だが、主に逆らう事はできない。


「主よ、理想郷にあの娘は必要ですか。それが主の御意向ならば、ワタシは受け入れましょう」


 今ワタシの視界には、使い魔の目を通じて主の姿が映っている。


 主の眼前で飄々と剣を構えるの姿……


 果たして、主はあの化け物に太刀打ちできるだろうか?

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