RUN RUN RUN!!

ミヅハノメ

幕間


 人を殺すのは、意外と力がいる。

 ハンバーグなんかに包丁を差し込むのとは全く違う。ずっしりと重い感触。皮と、肉と、内臓。手でふれたわけでもないのに、包丁の刃が順番にそれらを貫通していく感触が伝わった。外側はすこし硬くて、内側のほうが柔らかい。

 このまま手を放すべきか、包丁を抜くべきかどうか迷ったけれど、凶器をそのまま体に残しておくのは躊躇われた。ぐっと柄を握って、思い切り引き抜いた。血液で濡れているからか滑るように引き抜かれた包丁。生暖かい血があたり一面に飛び散って、あたりは一気に凄惨な殺人現場の様相を呈した。血の匂いがむわりと充満した。

 手が血で真っ赤に濡れている。顔も、髪も、服も。

 それで思った。


 ああ、なんだ。

 思ったよりも簡単だな。

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