第16話 対決!教頭先生
「「ゾンビがしゃべってる!?」」
「やれやれ、キミたちは何を驚いてるんだ?すべてのゾンビは話せるのだぞ?」
「なんだって!?じゃあ俺もゾンビになれば英語を話せるのか!?」
「イエスザッツライト(はい、そうですね)。ただし人間だった時の言語能力に依存するから言語能力が高ければ高いほど流ちょうに話せるようになるぞ。ちなみにワタシはエスペラント語がエスペラペラントだ」
(つ、つまらねえ……)
こんな教頭先生に用などないが、教頭先生たちは廊下を塞ぐように立ちはだかっておりどうやら先に進むには倒していかねばならないらしい。
シンイチたちは仕方なくショットガンをよいしょっと構えるが、教頭先生たちはニタニタと不気味な笑みを浮かべているだけだ。
その邪悪な笑みはまさに闇の教頭先生といったところだろうか。
「おい教頭!俺はこの先にいるはずの、はちゃめちゃにかわいいゾンビの女の子に会いたいんだよ!そこをどいてくれ!」
「ああ、それなら無理だな」
「なんでだよ!俺はあのゾンビちゃんといいことしたいんだよ!邪魔すんな!」
友人の男の脅しにも怯まず、教頭先生は余裕の表情で告げる。
「むふふ……こう見えてもワタシはこの学校の教師だからな。不審者を通すわけにはいかんのだ」
「なに言ってんだよ!パンツ一丁のあんたこそ不審者だろ!」
「もちろん教師だとか不審者てのは建前で、ここで強化ゾンビの極秘研究を行っていることを知られるわけにはいかんからな。だからこの先に進ませるわけにはいかんのだよ」
「?????」
こいつはいきなり何を言い出してるんだ?
教頭先生の意味不明な発言にシンイチたちは思わず顔を見合わせる。
「女子校の教頭がゾンビの研究をしているだと?」
シンイチがそう問うと、教頭先生たちは急に狼狽え始め、じりじりと後ずさりをしだした。
「な……何を言っている?ワタシはただ単に女子校で強化ゾンビの研究を極秘でしているだけだぞ?どうしてそのことを知ってるんだ!も、もしやキミたちは秘密組織のエージェントか!」
「俺たちはただの通りすがりだ、強化ゾンビとはどういう研究なんだ。教えてくれ」
「ふ、ふんっ!ワタシの背後にいる教頭たちがワタシのクローンゾンビであることも見抜けないようなキミたちにそんなことを教えられるわけないだろう!」
「そいつら兄弟とかそっくりさんじゃなくてクローンだったのか?」
「なあっ!!?なぜキミたちがクローンゾンビのことを知っている!??」
シンイチたちのするどい指摘に教頭先生たちは大混乱だ。慌てふためくあまり柱に頭をぶつけたり、腰を抜かしてぺたりと座り込んだり、半ケツを出しながらでんぐり返しで後方に転がったりと先ほどまでの余裕はどこにもない。
どうやら教頭先生はシンイチたちの想像を絶する知性の持ち主らしい。
「クローンゾンビは最重要機密事項だ!決して誰にも話してはいけないのだぞ!」
「クローンゾンビてあんたさあ、パンツ一丁のおっさんなんか増やしてどうすんだよ」
「そんなことを教えるわけないだろバーカ!クローンゾンビでこの地上を覆い尽くしてやれば差別のない理想郷を実現できるはずなのだ!」
「なるほどな」
「……ということをキミたちに話しても決して理解できないと思うので絶対に教えてはやらん!」
「パンツ一丁のおっさんしかいない世界が理想郷だって?ミニスカギャルがいっぱいの楽園の方がいいに決まってるだろ教頭!」
「うっ、うるさい!パンツ一丁でいいのだよ、ミニスカギャルなんて必要ない!」
教頭先生は顔を真っ赤にしながら友人の男の言葉を否定する。どうやら痛いところを突かれてしまったようだ。
「ふん……ではチミたちに一つだけ教えてやろう。ミニスカギャルなどいくらいてもワタシのような者にはノーチャンスだ!では落第生どもは絶望を抱えたまま死んでいきなさい!」
教頭先生はそう叫ぶとパンツを脱ぎ捨てて仁王立ちになったではないか!
なんということだろうか。教頭先生は優れた知性を保ったまま、完全に理性を失ってしまっているようだ。
そしてあろうことかフルチンのままシンイチたちに襲いかかってきたではないか!なんということだろうか!
「やぁーーだあ~っ!!」
「こら教頭!優ちゃんに汚いモノを見せるな!」
「汚くなどないわ!このミニスカ目当ての童貞どもが!カーッ、死ね!」
教頭先生はそう吐き捨てると先ほどまでの教頭先生とは思えぬほどの軽やかなステップと共に、貧相なものを揺らしながら回し蹴りをシンイチたちに浴びせてきた!
だが悲しいかな、教頭先生が相手をしているのはゾンビと化した女子校生にさえ一切容赦のないシンイチたちだ。
ゾンビと化した全裸の変態おやじを始末することにいささかの躊躇もない!
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