ヒデくんが好きです
おもながゆりこ
第1話
ヒデくんはね、いつもあたしに優しいの。
ママの弟で、私が生まれた時から可愛がってくれる優しいお兄ちゃんなんだ。
正確には叔父さんだけど、あたしはいつもヒデくんって呼んでいる。
お砂場で遊んでくれたり、ブランコの背中押してくれたり、ねだればお人形でもアイスでも、何でも買ってくれる。
この前なんて、あたしの三歳のお誕生日会にも来てくれて、あたしが大好きなキャラクターのお洋服だってプレゼントしてくれたの。
あたしは決めている。
大きくなったらヒデくんと結婚するんだって.+゚結(*´э`人´ε`*)婚゚+.
あたしは本気よ٩(🔥ロ🔥)و ̑
それなのに、ヒデくん、どこかの大人の女の人と結婚する事にしたんだって。
うちにもその女の人を連れて挨拶してた。
どうしてこんなオバサンと結婚するのよ!
あたしの方がずっと若くて可愛いのに!
ヒデくんのお嫁さん予定のオバサンは、
「コハルちゃんね、よろしくね」
だってさ。
あたしの名前を勝手にちゃん付けして呼んじゃって、ムカムカしたから挨拶なんてしなかった。
ママが
「あらァ、コハルはご機嫌ななめかな」
だって、当たり前じゃない!
うちのパパも、ママも、おじいちゃんもおばあちゃんも祝福しちゃって、憎たらしいったらありゃしない。
ヒデくんのお嫁さんはあたしなのに!
ヒデくんの結婚式には、あたしもおめかしして出る事になったの。
子ども花束って、なんだか大役を任されたのよ。
ヒデくんとお嫁さんに花束を渡すんだって。
そんな事したくないのに!
当日、ピンクのドレスを着たあたしは、普段よりずっと可愛かったはず。
ヒデくん、あたしのこの姿を見て、気持ちを変えてくれないかな。
いよいよあたしの出番。
あたしは小さな花束を持ち、ヒデくんとオバサン(お嫁さん)の前に行ったわ。
花束を、ハイとあげたらヒデくん凄く喜んでくれた。
あたしはちっとも嬉しくなかったけどね。
それでね、司会の人が、あたしにマイクを向けてきたの。
「おめでとうって言える?」
なんて言いながら。
だからあたし、思い切り大きな声で言ったわ。
「ヒデくんが好きです」
周りの大人がみんな大笑いしているのꉂ(ˊᗜˋ*)
可愛い、とか、ウケる〜って声も聞こえた。
あたしはウケようとしているんじゃないのよ( ¯꒳¯ )ᐝ
ヒデくんは、参ったな、って感じで笑って頭をかいているし、お嫁さんはヒデくんを笑いながら叩いているし。
あたしのヒデくんを軽くと言えども叩かないでくれる?
あたしは自分の席に戻ったわ。
誰がおめでとうなんて言うもんか。
ヒデくんのお嫁さんはあたしなのに!
ヒデくんをいちばん好きなのは、あたしなんだからね!
もう!コハル、怒っちゃうわ。
プンプンo(`ω´*)oo(`ω´*)oo(`ω´*)o
ヒデくんが好きです おもながゆりこ @omonaga
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ブーブー娘/おもながゆりこ
★3 エッセイ・ノンフィクション 完結済 4話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます