第41話 3C(2)
「確かに、この季節は『ドロッ』としたカレーが定番ですね」
そう言って、
ポニーテールの綺華と違って、彼女の髪型は前上がりのロングボブで、キノコというよりは日本人形に近い。
以前に行った彼女の実家では、確か巫女装束を着ていたハズだ。
その印象が残っている
(スルーらしい……)
俺と同じで「反応するのが面倒だ」という理由ではなく、やはり綺華と波長が合うようだ。細かい事は気にならないらしい。続けて夕陽は、
「
『香りを食べる』といった所ですね――などと語る。
その言葉を聞き、綺華は、
「フッ、
(いったい、
すみません! 俺、その台本もらってないんですけど。
カレー談義をする女子中学生というのも珍しい。
もう少し見ていたい気もするが、今は仕事が優先だ。
報告書の作成の他に、借りている部屋の
「分かった、帰りに
そんな俺の
示し合わせたかのようにハイタッチをする。
最初、内見の仕事に綺華が「付いて行きます!」と言った時は「どうしようか?」と悩んだのだが、問題なかったようだ。
(まあ、どの道……)
断ると
問題は「誰と組むのか」だろう。
最初は
そこへ丁度「夕陽が遊びに来た」というワケだ。
綺華には仕事が終わるまで「近くのファミレスで待っていてもらえばいい」と考えていたのだが、一緒に現場まで来ると言い張る。
夕陽も本家の人間なだけあって、呪詛師としての格は俺よりも上だ。
「わたくしが綺華さんに付いていますので、問題ありません」
と押し切られてしまった。どうやら俺は、綺華に対して過保護らしい。
まあ、除霊といっても「俺が殴れば」だいたいは
一方で夕陽は『
結界などを張る「支援タイプ」と考えるのがいいだろう。
怨霊と対峙した際は、俺が前衛で彼女が後衛となる。
役割的には間違っていないハズだ。
しかし、1つ誤算があった。
それはマンションに出る怨霊の正体が『人面ゴキブリ』だったことだ。
動きが
更にオッサンの顔が付いているのが腹立たしい。
この場合、虫の背中に顔が付いている。
数が1匹だけ――というのが、せめてもの救いだろう。
1人暮らしで「
幼虫なら
成虫でも数ミリの隙間で十分なようだ。いつの間にか家の中に入ってくる。
換気扇や通風孔、サッシの隙間やエアコンの排水ホースなど、侵入経路は様々だ。
夕陽に頼んで、猫の式神を使役してもらい、捕まえてもらう作戦に変更した。
俺1人だったら、危なく素手でゴキブリを
怨霊よりもゴキブリの方が
(まあ、無事に退治できて良かった……)
いや、今はそれよりも、思わぬ出費になってしまったことを後悔すべきだろうか?
しかし、喜んでいる2人の様子を見て、どうでもよくなる。
「じゃあ、早いところ点検を終わらせて帰るか……」
まずは水回りだな――そんなことを
「甘五くん! お風呂を見ましょう♪」
「まずはキッチンですね♪」
と2人。順番に見て回ればいいモノを――
どちらか1人だけなら問題ないが、女子中学生2人に全体重を掛けられるのは、
しかし、同時に綺華の体重も、すっかり元へ戻っているようなので安心した。
夕陽と同じくらいだろう。
俺がそんな心配をするのも、以前――ある呪詛師の手によって――『
思春期の少年少女の
俺が探偵事務所で最初に関わった事件であり、綺華と知り合う
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🌸ฅ^•ω•^ฅ🌸 「両手に花」の猫森くん。
案の定、苦労しているようです。
思わぬ強敵(人面ゴキブリ)も何とか
退治し、次回からは回想となります。
ニャンฅ(>ω< )ฅニャン♪
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