第40話 3C(1)


「カレーですよ!」


 と綺華あやか。相変わらず、会話に脈絡みゃくらくがない。

 なんと返すのが正解なのだろうか?――と言葉を失っている俺に代わって、


「なるほど、カレーを食べるのに、あの長い髪は邪魔ですからね」


 うんうん、と夕陽ゆうひうなずく。カレーを食べている最中、自分の髪の毛がカレーに入ると「嫌な気分になる」そういう事なのだろう。


 カレーを食べることによって血行を促進し、新陳代謝を高まることで毛根に栄養を届ける――という話ではなさそうだ。


 ただ、薄毛には刺激物である香辛料やコーヒーに紅茶、そのほかにも動物性の脂や塩分は良くない。


 ラーメン好きにハゲが多い――といううわさはだいたい合っているようだ。

 栄養のかたよりと血行の悪化によって、薄毛が進行するらしい。


「食べていいのは、ハゲる覚悟のあるヤツだけだ!」


 そんな台詞セリフを聞いたことがある気がする。

 ハゲないためには――


(いや、今はハゲの話は関係ない……)


 どうやら、この2人の間では少ない言葉で会話が成立するらしい。

 波長が合う――というヤツなのだろうか?


 仲がいいのは結構なことだ。

 だが、俺にも分かるように説明してくれ。


(いや、別にしなくてもいいのだが……)


「夢を見たのです♪」


 と綺華あやか何故なぜか「えっへん!」と得意気だ。

 正直なところ、他人の夢の話など「詰まらない話」の代表格である。


 あまり気乗りはしないのだが――


(これ、詳しく聞かないとダメなヤツだろうか?)


 時間のムダとしか思えない。

 すでに問題のあった部屋の除霊は終わっている。


 この部屋を点検すれば終わりだ。

 報告書を作らなければならないので、早く帰りたい。


 俺が会話を広げるべきか躊躇ちゅうちょしていると、


「すべて理解しました」


 と夕陽ゆうひ。「だから、なんで分かるんだよ!」というツッコミは、この際不要だろう。

 取りえず「言ってみろ」と俺は声に出さず、視線を向ける。


「つまり、お兄様と一緒にカレーを食べる夢を見たようです……」


 それも欧風ではなく、小麦粉を使わないシャバシャバのカレーの夢を!――夕陽ゆうひは断言した。そんな彼女の台詞セリフに呼応するかのように、


「カレーはオールシーズンですが、ここでえて『シャバシャバカレー』の夢を見るとは、運命を感じます」


 この仕事が終わったら、帰りにカレーを食べましょう!――と綺華。

 そんなにカレーが好きだっただろうか?


 俺は少し悩んだが「たぶん『くるみ荘』で影響を受けたな」と結論付ける。


(今年の夏も暑かったからな……)


 無性にカレーが食べたくなるのは仕方がない。

 カレーがマイブームのようだ。


 食欲増進や肝機能の向上、自律神経の働きを高めるなど、夏バテ防止にもなる。

 夏にはオススメの食べ物といえるだろう。


 ただ、寒い季節に「無性にカレーが食べたい!」と感じたら注意した方がいい。

 風邪かぜの前兆かもしれないからだ。


 ターメリック(ウコン)などに含まれる黄色のポリフェノール化合物である『クルクミン』は免疫めんえき力を高め、肝臓の働きをよくしてくれる。


 加えて、血行の促進や体内の有害物質を処理してくれる優れモノだ。


 人間の身体からだというのは不思議なモノで、免疫機能が低下すると本能的に『クルクミン』を欲するようになるらしい。


 その結果「カレーが食べたい!」という欲求が高まるワケだが――


(やはり【呪い】の影響だろうか?)


 俺なんかのそばるから、うつってしまったのかもしれない。

 だが、それにしては元気だ。


 【呪い】の影響下にある人間が『シャバシャバカレー』を食べるために、ここまで気合を入れるだろうか?


 ちなみに『シャバシャバカレー』とは(とろみのもととなる小麦粉などを使わない)ルーがサラサラしたカレーである。


(早く帰るのはあきらめて、ここは静観しよう……)


 そう言えば、以前は3B(「美容師」「バーテンダー」「バンドマン」)の男性は「恋人には向いていない」と言われていた。


 今は3C(「カメラマン」「クリエイター」「カレーをスパイスから作る男」)らしい。「カレーをスパイスから作る男」だけ違うような気もするが――


(市販のルーで作ったカレーに文句を言われたのだろうか?)


 確かに、それだと結婚した際は面倒そうだ。

 簡単に作ることが出来るのがカレーのメリットであり、家庭で作る頻度も高い。


 子供はカレーが好きだし、野菜も食べてくれる。

 変にこだわられても迷惑でしかない。


 恐らく「カメラマン」「クリエイター」との共通点としてはソコだろう。

 こだわるのが悪い――という話ではなく、子育てを中心に考えると相性が悪そうだ。


 子供育てよりも、趣味にお金や時間を注ぎ込む――という可能性が高い。

 経済的DVという言葉もある。


 自分の好きなことを優先する「オタク気質な男性」といった所だろうか? モラハラにもつながるので、女性からすると「もう付いていけない」となるのだろう。


 まあ、3Cに限らず、生活費を出さない夫はいる。


 昔から「家庭に無関心な父」「子供を支配する母」「それに苦しむ子供」という構図は定番なので、決めつけるのも危険だ。


 その他にも3S(「整体師」「消防士」「スポーツインストラクター」)や3H(「不動産屋」「ホスト」「編集者」)なんてのもあるようだ。


(もう、無理して結婚しない方が『幸せ』なのではないだろうか……)




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 ฅ^-ω-^ฅ ハゲとか言っている場合では

 ありませんでした。南海トラフ地震が

 発生ようです。(しないかもですが……)


 非常食を準備して、お風呂に水を貯め

 ましょう。津波が来るエリアの方は

 高台に避難です。

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 ※連休は投稿をお休みします。

  次の投稿は8/13(火)となります。

 🐟 🐟  ฅ(^ω^ฅ) ニャ~ ᗦ↞◃ ᗦ↞◃

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