彼女の秘密
天川裕司
彼女の秘密
タイトル:彼女の秘密
イントロ〜
皆さんこんにちは。
ところで皆さんは、人と付き合う事に真面目ですか?
変な言い方ですが、灯台もと暗し。
そんな当たり前の事さえできない人が、結構、
この世には多くなってきているのかもしれません。
特に男女関係において、不真面目な姿勢で臨んでいては、
ある日、常識を超えた恐怖…
いや、身の破滅に出遭う事があるかもしれません。
メインシナリオ〜
ト書き〈カップルの紹介の形で〉
都内に、某カップルがいた。
名前は孝之(たかゆき)と明美(あけみ)。
でも孝之は浮気性。
そのことを知らずに付き合っていた明美は、
既に彼のことを愛してしまっていた。
そして孝之は遊び半分で明美と付き合いながら、
彼女の前だけでは良い人振り、
彼女とは毎晩、営みをしていた。
孝之にとっては遊びだったが、
明美にとっては結婚を前提にした交際になっていた。
明美はもともと引っ込み思案な性格。
だから自分が妊娠したことも初めは
なかなか彼に打ち明けることができなかった。
どことなく彼に、やはり遊び人の匂いを感じたからだろうか。
それではいけないとお腹の子と将来を思い、
ある日、思いきって打ち明けた。
すると案の定、彼の態度は急に変わった。
冷たいものになり、
「お前とは遊びだ。本気にしていたのかw?」
なんて、信じられない言葉が返ってきた。
「そんな…!」
明美にはもうそのとき言われた言葉がショックで、
それからまともな生活ができないほど落ち込んだ。
その日からアパートの自分の部屋に篭るようになってしまい、
ただお腹をさすりながら、
できた自分とあの人の子の事を思うだけ。
愛していた筈の彼との将来が消えてしまい、
もう病院へ行くこともできず、食べるものも満足に食べられず、
気落ちして、そのままジリ貧の生活を送っていくだけ。
心が壊れ、働くことも出来ないでいた。
そして明美は自らこの世を去ってしまった。
それまでの付き合いから、孝之の所に警察が行く。
「僕はもうあの人とはずいぶん前に別れてて、ちょこちょこ会ってはいましたが、僕にはもう他に付き合ってる人もいるんで、2人合意のもとでちゃんと別れていたんです!信じてください!」
孝之はこのとき嘘をついた。
確かに別の女と浮気をしていたが、
正式に付き合ったのは明美が他界した後。
それまではずっと陰に隠れて浮気を続け、
明美との合意のもとで別れたりしていない。
すべては孝之の自己弁護。
ト書き〈奇妙な事〉
それから少しして、奇妙な事が起こった。
「…なんだよ明美のヤツ、俺の子を身ごもったなんて嘘をつきやがって!そんな証拠どこにもねえんじゃねぇかw!ったく、最後の最後まで迷惑かけ続けてくれるよなぁ!!」
最後に言っていた明美の言葉が気になり、
本当に妊娠していたのかどうか、
その事を孝之は自分なりに探っていたのだ。
明美の知人に聞き回り、それから以前に
明美が通っていた掛かりつけの病院や、
それから考えられる産婦人科など、
とりあえず考えられる限りの界隈を回ってみたが、
「明美が妊娠していた」
という事実はどこにも無い。
孝之はそれなりに裕福な家庭の生まれで、
父親のツテから警察にも知人が多かった。
その情報を手繰り寄せてみると、
やはり警察の人間からも「明美が懐妊していた」
という事実は聞かされない。
「なるほどな。アイツそれなりに貧乏だったから、俺の財産目当てに、あんな嘘をつきやがったのかw」
子供をダシに使って嘘をつき、
結婚しようとしていた明美の目論見を、
孝之はこのとき自分なりに模索していた。
ト書き〈事故?〉
そしてわずか数日後。
限りなく事件に近い事故が起きたのだ。
(現場で警察の事情聴取)
警察「大丈夫ですか?おい誰か、彼女にコーヒーでも持ってきてあげて」
由利香「あわわ…あわわ…あ…赤ちゃん…赤ちゃん…」
婦警「どうか落ち着いて」
億ションの10階に住んでいた孝之は、
新しく付き合った彼女・由利香と部屋で一緒にいた夜。
ベッドの上で亡くなった。
そのとき由利香も一緒だった事から
彼女が犯人に疑われたが、どうも様子から、
それが違うもののように思われ始めていた。
少なくとも警察の何人かはそう思った。
由利香の様子があまりにもおかしく、
警察内に居た長年のベテラン刑事の勘をもってしても
「彼女に人を殺す事はおそらく出来ない」
と思われた。
当然中には何かの痴話げんかで相手を殺して
しまったからその衝撃で、一時的に狂っているだけ…
との見方もあったが、それにしても由利香のおびえ方は尋常ではない。
それにさっきから言っている「赤ちゃん」という言葉。
これがどういう意味なのか、その時そこにいた
警察の誰もが理解できなかった。
そして現場状況を調べ尽くしたところ、
鑑識の1人が警部に近寄ってこう言った。
「ちょうどベッド周りなんですけど、おそらく羊水のようなものが付着している跡が見つかりました」
「羊水?」
「ええ。母親の胎内で、外部刺激から赤ちゃんを守るように分泌されるあの羊水の事です」
「…どういうことだ?」
「…分かりません。ただその羊水を辿ると、何かが這った跡のようなものも見つかったんです…」
エンディング〜
母親の恨みをその身に託し、
自ら這い出て、孝之を葬りに来たのでしょうか?
明美が妊娠していなかった理由は、
既に赤ちゃんが這い出ていたから?
神秘的な力をもって、妊娠していた
事実すら消していたのかもしれません。
すべては恨みを晴らすためにと。
もしそうだとしたなら、
由利香があれほどおびえ、「赤ちゃん…!」と
狂ったように言ってた事にも合点が行きます。
皆さんもよくよく注意してください。
愛の恨みは恐ろしいものです。
それでは又。
動画はこちら(^^♪
https://www.youtube.com/watch?v=i4h5Tpf8ZFM
彼女の秘密 天川裕司 @tenkawayuji
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