セカイノカギ

ユラ

第1話 カギの存在

 この世界にはカギが12種類存在する。


 その鍵を手に入れた者には、大きな力が与えられるとか…。


 ーーーーーーーーーー


 と、いうのはただの伝承の話だ。この世界では誰もが知る伝承、しかし誰にも真実はわからない。


 俺はただの…いや、の獣人。

 普通より魔力が少ないのに加えて、魔力の扱いも下手。だから逆らおうなんてできない。

 ちなみにまともに牢から出たのは買われて出された一回だけ。

 まぁ、人並みの生活がしたいなぁとか、外にでてみたいとかは考えないわけじゃない。しかし、自分の力ではどうすることもできないどころか命まで失いかねない。

 

「おいガキ共!」


 うるさいし無駄にドスの効いた声が響いた瞬間、周囲に緊張が走る。声の主は、この奴隷商の下っ端。ちなみにこの奴隷商は政府非公認だが、贔屓にしている貴族が多いため裁かれない。社会の闇というやつだ。


「今日は久々のオークションだ。精々俺等の金になれるよう頑張るんだな。」


そう言って順々に牢を開け奴隷達が手錠をかけられていく。もちろん、俺も例外ではない。

そうして全員を牢から出すと、男達は手錠につながっているロープを引いて歩きだす。


「だぁるぅ…」

「あ??」


 …まずい、やらかした。殴られる気がする。


「す、すみまs…」

「身の程をわきまえやがれ!」


 ドゴッ‼


 鈍い音が周囲に響く。周囲の緊張が高まるのを肌で感じる。

 いや、今はそれどころじゃない。頭を思い切り殴られたのだ、当然痛い。


「…」


 黙って再度歩き出す男。周りは心配そうにこっちを見ているが声を出したり、勝手に動いたりしたら俺の二の舞いだ、当たり前である。

 頭に液体の感覚がある。血が出ているのだろう。その血をボロボロの服で簡単に拭う。

 そこから少し歩いて、人が大量にいるホールに辿り着く。


「…さてから抜け出すチャンスだぞ?」


 不気味に笑ってそう言う男。

 抜け出す、か。抜けたとしてその先が地獄じゃないと良いな、なんて思うのだった。


 ーーーーーーーーーー


「120!」

「150!!」


 ……だんだん値がつり上がっていくオークション。獣人…一部の層には人気らしい…?正直怖いもんだ。俺十二だぞ?


「最高金額は150ま…ん………。」


 司会者の声が止まった。何が起きたかわからず、思わず顔を上げると、そこには




          



の文字。


「…は……?」


訳が分からず、困惑している俺は何かを言うこともできない。俺はただ呆然と、その札を上げた男を見つめることしかできなかった。

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