書けないときの原因と対策/スランプ解消法【創作論寄稿】

越智屋ノマ@魔狼騎士2重版

【2024/6寄稿】君はなぜ書けないのか?

▲▼▲▼▲▼ 君はなぜ書けないのか? ▲▼▲▼▲▼


こんにちは、越智屋ノマと申します。6/14(金)に当サイト掲載中の「やけくそで密入国した夜逃げ聖女は、王弟殿下の愛に溺れそうです」がビーズログ文庫様より発売されます。コミカライズも進行中ですので、お楽しみいただけましたら幸いです^^)


▲▼▲▼▲▼「君はなぜ書けないのか?」……だと!?▲▼▲▼▲▼


とんでもない見出しで恐縮です! でも、おかげであなたに読んでいただけました。


(# ゜Д゜)「なにをエラそうに!!何様だおらぁ(怒)」という声が私自身の脳内でもガンッガンに響いておりますが……。実際のところは「君は」の箇所を、「私は」に読み替えていただくのが丁度良いと思います。


要するに、「小説家・越智屋ノマがどのような箇所で執筆の手が止まりやすいか」を分析して参りましたので、この場で報告いたします。物書きの皆様の執筆にお役立ていただければ幸いです。



▲▼▲▼▲▼書けない・執筆の手が止まる理由6選▲▼▲▼▲▼


「作品のコンセプトは決まったぞ」「プロットもちゃんとできた!」というのが大前提です。ゆえに、プロットなしで書き進めるタイプの作者様は、さらりと流し読みしてください。越智屋はプロット先行型の書き手(←2024現在)です。


プロットを作り込んだあなたは、「さぁ、あとは各話の内容を順番に書いていくだけだ……!」となることでしょう。


……しかし!

それでも筆が止まってしまうこと、ありませんか?


私? ありますよ、しょっちゅうです。

どうして筆が止まるのか、理由は次の6つです。



1.キャラの心情が読めない。

2.このキャラ結局何がしたいの?

3.このシーンの「相場観」がわからない

4.今回のエピソードに盛り込むべき情報が整理できていない

5.なんか読者ウケしなそうなシーンで萎える

6.設定矛盾に気づいて鬱になる


では、順番に見ていきましょう!


▲▼▲▼▲▼1.キャラの心情が読めない。▲▼▲▼▲▼


作者の中で「このキャラクターはこういう子」というのが手に取るように理解できているならば、キャラと対話するように自然に筆が進むでしょう。


筆が止まってしまうときは、まだキャラと仲良くなり切れていない可能性があります。


「このキャラ、何を考えているんだろう?」

たとえば、ヒーローと少し口喧嘩っぽく会話しながらも、頬を染めているヒロイン。


→オマエ今ナンデ顔赤くなった?


惚れてるのか。だとしたらその惚れは自覚できているのか。言い負かされそうで悔しいのか。誉められて内心照れてるのか。


そういう内面を掴みきれないと、筆が止まりますし書けてもなんか気持ち悪い仕上がりになります。




▲▼▲▼▲▼2.このキャラ結局何がしたいの?▲▼▲▼▲▼


敵対キャラがやってきて、主人公に厄介なイベントをふっかけるシーンとか、よくありますよね。プロットには「敵対キャラ、ウザがらみ。主人公に軽く撃退されて微ざまぁ。その後の大イベントへの伏線へ」みたいに書いてあったとします。


しか~し。どのように「ウザがらみ」するか、イマイチ思い浮かばず筆が止まるのです。


作家の「ストーリー進展上の都合」と「キャラが内面から発する行動」をよくよくすりあわせておかないと、「何か邪魔しにきたけど何してるかよく分かんない敵対キャラ」で終わってしまいます。


筆がめっちゃさまよって、せりふもブレブレになるんですよね……。



▲▼▲▼▲▼3.このシーンの「相場観」がわからない▲▼▲▼▲▼


これは単純に、同カテゴリーの作品のインプット不足ゆえに生じる問題です。


「勇者なり令嬢なりが国王に謁見する場面」や「令嬢が社交パーティのときに敵対派閥の女性に接触されて不快な思いをする場面」など、定番シーンのはずなのに、なぜか書けない……!


インプット不足の可能性があります。

自分の戦場と定めたカテゴリーの作品群を、5冊、10冊、50冊と読み進めていくうちに、「読者さまが心地よく感じる流れ」というのを感じ取れるようになってくると思います。


……さて。私も、修行だ。



▲▼▲▼▲▼4.今回のエピソードに盛り込むべき情報が整理できていない▲▼▲▼▲▼


たとえば、今回の話には「世界の神話的成り立ち」と「この世界における魔法使いの頻度」と「主人公キャラがどのような魔法スキルを持っているのか」の3要素を組み込まなければならない……といった場合です。


地の文だけでドドドドーっと書き連ねると読解するのが苦行になってしまうので、キャラ同士の会話シーンを同時進行しつつ自然に情報を盛り込んでいったり、しますよね。


……そう。

こういう回は同時進行で考えるべき情報の量が多いので、非常に筆が遅くなりがちです。


脳のCPUがいっぱいいっぱいになりがちなので、あらかじめ「今回盛り込むべき情報の整理」「どういう会話の流れの中で盛り込むか、構想を立てておく」などの工夫をしてしのぎましょう。



▲▼▲▼▲▼5.なんか読者ウケしなそうなシーンで萎える▲▼▲▼▲▼


これ!! きついですよね!

読者ニーズがなさそうな回。物語展開上、必要であるにも関わらず「この展開ウケなさそうだな」という思いがこみ上げてくるんです。


この努力、実らないんじゃないかな……


と、弱気の虫がバリバリと原稿を蝕んでいきます。


こういうときの執筆って、メンタルに来ますよね。自己対話の連続です。……乗り切りましょう!



▲▼▲▼▲▼6.設定矛盾に気づいて鬱になる▲▼▲▼▲▼


事前に構想は立ててあったのに、実際原稿に落とし込んでみるとめっちゃ矛盾している。


……これもキツい!

何話も前にさかのぼって、設定矛盾を突き止めて全体的に修正しなければなりませんからね。


苦行かよ!? ええ、苦行だと思います。

そうして人は、前に進んでいくのだと思います。……うぅっ



▲▼▲▼▲▼ 「書けない自分」を乗り切ろう ▲▼▲▼▲▼


書けない理由は、状況次第。さらには人それぞれでもあるので、自分なりの「鬼門」を見つけ出せると今後の執筆に活かせるかもしれません。


今回書籍化した #夜逃げ聖女 も、筆が止まりそうになっては這い上がり、書き上げた作品です。お読みいただくと「越智屋、このへん悶えながら書いたんだろうな」というのが分かって、みなさんの執筆の役に立つかもしれません。

ぜひぜひお手に取ってみてください^^)


・書籍『やけくそで密入国した夜逃げ聖女は、王弟殿下の愛に溺れそうです』

・ビーズログ文庫

・2024年6月14日発売

* コミカライズも進行中♪


越智屋ノマのX(Twitter)でも、お気軽にお声がけください。待ってます!!


それではでは、またお会いしましょう♪

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