第23話 SF 鈴鹿 第8戦
※この小説は「スーパーGTに女性ドライバー登場」「続スーパーGTに女性ドライバー登場」のつづきです。実は、パソコンのトラブルで編集中に保存できなくなり、また新しいページで再開した次第です。
バーレーンから1週間後、朱里は鈴鹿へきていた。自宅へもどったのは1日だけである。父からは何も言われなかったが、キャンピングカーで鈴鹿まで連れてきてくれた。去年まで、あんなにうるさく言っていたのに、干渉しないと心に誓ったのかもしれない。
鈴鹿にミックは来ていない。平田といっしょにF1のテストに行ったらしい。T社がF1のハートチームと提携関係を結んだので、若手ドライバーやメカニックの研修を行うということだ。それで19号車は若手の平良が乗ることになった。朱里は同年代のドライバーが来たので負けたくなかった。
予選はアタックタイムになったところで、クラッシュしたマシンがありレース中断の赤旗が振られた。せっかくのアタックだったが無駄になるかと思いきや、レース主催者は3分間の延長を認めた。朱里は最後にでていき、チェッカー2秒前にアタックタイムに入った。最後尾でのアタックである。朱里にとってはベストタイムだったが、トップとは2.5秒差。まだ2秒の差を縮められない。だが、チームメートの山木とは0.5秒差である。遅いのはマシンのセッティングのせいでもあると自分で納得していた。
結果、21台中20位でのぞむことになった。最後尾は予選でクラッシュしたマシンで修理して決勝にのぞんでいる。
決勝スタート。すると、朱里の前で2台のマシンが停まっている。エンジンストールとギアボックストラブルだ。そこをたくみにぬけて1コーナーに飛び込む。こういう危機回避はうまくなった。
1周目、19位で通過。タイヤはハードタイヤを選択している。できるかぎりピットのタイミングを遅らせたいからだ。チームの無線で、SCがでそうな時にピットインすることにしている。
19周目、そろそろタイヤがきついなと思っていたところ、無線で
「ピットインしろ!」
と指令がきた。バックストレッチを走っている時で、ナイスタイミングだ。
ピットを終えて、SCカー先導の列に加わると13位にあがっていた。朱里より遅くピットインしたマシンが6台もいた。SCの理由は新人の平良のマシンのタイヤがはずれたということである。小田はそのはずれたタイヤにぶつかりそうになったと後で言っていた。
24周目、SC解除。ここでまたもやクラッシュ発生。37番のマシンがスプーンkカーブでスピンしてしまい、14番を巻きぞえにしてコースアウトしてしまった。またもやSCである。SC開けの1周は、接近戦なのでこういうトラブルがありがちだ。朱里は11位にあがった。
無線で
「朱里、落ち着いていけよ。SCが開けたら前の岩沢を抜け」
と檄がとぶ。朱里は
「了解」
と答えたが、抜けば初ポイント獲得だ。緊張するなというのは多少無理がある。
27周目、残り4周でレース再開。まさにスプリントレースだ。
岩沢のスリップにつくが、なかなか抜けない。OTSを使うタイミングがポイントだが、朱里が使うと岩沢も使うという状況だ。そのうちに後ろにいた本村がせまってきた。朱里がOTSを使えないタイミングで抜かれてしまった。
結果、12位でフィニッシュ。山木はトラブルにあい、15位だった。朱里にとっては今までの最高位で走りに手ごたえを感じていた。特に、スプーンカーブではトップダライバーとそん色ない走りができていて、チーム監督や山木から誉められた。明日の最終戦が楽しみである。
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