マイフレンド

@morishin0725

第1話

これは、少し不器用で、心優しい四人の高校生のラブストーリーである。



12月25日、クリスマス。

聖なる日に私は一人でファミレスで読書をしている。

両親は共に仕事、友達は恋人とデートや家族旅行に行っている。

だから、お一人様なのです。

「渚ちゃん?」

名前を呼ばれ、顔を上げる。

「由美さん!!」

内藤由美さん。

警察官をしているお父さんの部下。

そして、私の好きな人の先輩。

「何してるの?一人?」

「一人です。友達も両親も用事があって…」

「じゃあ、高田くん呼ぼうか?」

高田さん…私の好きな人…。

会いたいなぁ…。

「高田さん、今日仕事なんじゃ…」

「今日は休みだって言ってたから大丈夫!呼んであげる!」

由美さんは高田さんを強引に電話で呼び出した。

「高田くん、すぐ来るって!」

「いいんですか?せっかくのお休みなのに…」

「どうせやることないんだから大丈夫よ」

「……」

大丈夫じゃないと思うんだけどなぁ…。


数十分後、高田さんがやって来た。

申し訳ないと思っていたのに、高田さんの顔を見たらドキドキしてしまった。

「由美さん、どうしたんですか?」

「渚ちゃんが一人で淋しそうだったから、デートしてあげて」

「由美さーん、そんなことで呼んだんですかー?」

「そんなこととは何だ!市民の相談にのるのも大事な仕事だぞ」

「由美さん、デートって言ったじゃないですか」

「デートも大事な仕事だ!」

「言ってること滅茶苦茶ですよ」

「高田さん、ごめんなさい。お休みの日に呼び出しちゃって…」

「渚ちゃんは悪くないよ。由美さんが悪いんだから。でも、せっかく来たんだから、デートしようか。渚ちゃんが嫌じゃなかったら」

「嫌じゃないです!!嬉しいです!!」

「良かったね、渚ちゃん。じゃあ、私は行くね」

由美さんは私たちに手を振り、ファミレスを出ていった。

急に高田さんと二人きりになって、ドキドキしてきた。

「高田さん、急に呼び出してごめんなさい」

「大丈夫だよ。暇だったからね。でも、デートの前に何か食べさせて。朝から何も食べてないんだ」

「はい、食べてください」

「ありがとう」

高田さんは私の向かいに座り、メニューを見る。

綺麗な顔してるなぁ…。

優しいし、背も高いし、本当好き。

職場でモテるんだろうなぁ…。

彼女いるのかなぁ…。 

「渚ちゃん?どうしたの?」

「あっ…いや…何でもないです…」

「そう?」

ニコッと笑いかけられて、ドキッとした。

笑顔も素敵なんだよなぁ…。

でも、高田さんは私を妹のようにしか思っていない。

高校生だから、当たり前なんだけど悲しい。

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