スーパーオオザキ
寅次郎
第1話
ここはスーパーオオザキ。
スーパーオオゼキに訴えられそうな店名だが、オオゼキも相手にしないほどの小規模スーパーだ。
駅から少し歩けば本物のオオゼキがあるが、ここスーパーオオザキの方が駅から近くて安い。
だからやっていけるのだ。
ここで働く小松原五郎49歳は漫画家を目指しながら働いている。
五郎は男性更衣室にいた。
「まいっちゃうよ、昨日も徹夜」
「漫画家って大変なんすね」
小宮悟27歳が言った。
「あ、悟くんブログ見てくれた?」
「五郎でnight!ですか?」
「そうそう」
「今日見ます」
「頼むねー」
五郎でnight!とは五郎のブログである。毎週金曜日にアップされているが、ほとんどの人は知らない。
五郎はオオザキ!と背中に大きく書かれた制服に着替え売り場に出た。午前中とはいえ子供からお年寄りまでの客層で賑わっていた。五郎は「いらっしゃいませ」「いらっしゃいませ」と言いながらカートを並べている。
レジに立つ五郎。
五郎のレジに客が入った。
「いらっしゃいませ」
ピッ!ピッ!
凄い速さである。スーパーオオザキにはセルフレジがない。だからお昼時や夕方の込む時間帯はスピード
が重視される。それにしても五郎のレジ打ちは速い、五郎は「レジは腰で打て」との信念がある。
それに比べると悟はゆっくりに感じる。
三時間ばかり働いて30分の休憩。喫煙所はスーパーの裏側にある。五郎はタバコを吸いに行った。
するとこれから入る遥19歳がタバコを吸っていた。
遥はヤンキーで彼氏もヤンキーだが、素直で良い子だ。
遥は店長に見つからないようにタバコを吸っている。
五郎は遥を見つけると「よっ!」と手を挙げた。
遥は「ちーす」と小声で対応した。
五郎が「若いんだから元気出さないと」と言うと、「五郎さんが元気過ぎるんですよ」と言われてしまった。遥はタバコを消して店内に入っていった。
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