第35話… 後悔に苛まれる

 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜




 マサ先生の妄想劇場を払拭すべく

 ぼっちケーキを試みたが

 喫茶店には 偶然 相棒アミが居た



 ケーキを食べてから 一緒に店を出て

 久々に ダンスの練習に誘って

 スタジオに向かっていると



 マサ先生の予感が的中…



 俺の目の前で

 アミの元カレに再会するっていう


 ホントにあった怖い話…





 俺は…


 その場にアミを置いてくるという

 過ちをおかす…



 そして…今

 柾國まさくにアニキに弱音を吐きまくって



 このスタジオで 心細いから

 "一緒にアミを待って欲しいオーラ"を

 漂わせると




 *・゚・*:.。.*.。.:*・゚・*:.。.*.。.:




「何言ってるんですか!!

 僕が一緒に待ってどうするんです?!

 邪魔でしょうよ!

 そんなに図々しくないです!

 空気ぐらい読みますよ!

 僕は のぞむ先生だから諦めたんですよ!

 それとも そんなに自信がないなら

 僕が奪ってもいいんですか?

 んあ゙〜??(#゚Д゚)はぁ…はぁ…」



 捲し立てたマサ先生は

 さらに…



「(。´-д-)はぁ… 付き合ってられませんね!

 僕は帰ります!」



 バタン…っ…



「あ…帰っちゃった…(。´-д-)ハァー」




 相棒のことは


 もう 手放さないって…

 もう 離れないって…



「迎えに…行こうかな……」



 アミに電話をしてみるも




 プルルル…プルルルル…



「……で、出ないよぉ」




 もしかして 今…あのふたり

 踊っているのか?


 いや…暴れてる?





 アミはもう…



 帰ってこないのか?





 _| ̄|〇il||li…ガックシ…




 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜




 → 従兄いとこ じんの店に来たさとしとアミ




「兄さん…」


「お!智っ…え…お、お前っ…( ⊙Д⊙)」


「ちょっとだけ 席借りてもいい?」


「あ、あぁ…いいよ…」


「こんばんは!すみません…急に…」


「いえいえ…(*´ω`*)」


「アミつん、この席でいい?」





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 → 席に着いたアミつんと僕





 店の入口に近いボックス席



 偶然の再会にびっくりして…

 緊張しちゃって…でも嬉しくて…



 とにかく話がしたい…



「アミつん 変わらないね!!

 2ヶ月くらい経つ?かな?」


「え〜!そんなに経ったんだね〜

 急には 変わらないよ(´▽`*)アハハ

 まさか ここで

 再会するなんてびっくりだね(*´꒳`*)」


「兄さんの所に

 預けてた荷物があったから

 引取りに来たんだ」


「そうなんだ!

 新天地での仕事…もう慣れた?

 サトちんは若いから

 そんな心配しなくても大丈夫か!(*´꒳`*)」




 ふんわりとあったかい この声に

 懐かしさを感じる…


 僕は まだ…忘れてない…

 結婚まで考えた人なんだから…




「…うん 新しい職場は

 良い人たちばかりだし 大丈夫だよ!」


「安心したぁ(*´꒳`*)」




 別れてからずっと

 気になってたことを聞いてみる



「あれから…

 先輩からの嫌がらせは されてない?」


「え?…あ、あぁ〜!全然何も無いよ」


「それなら良かった!ε-(´∀`*)ホッ

 気になってたんだ…

 また迷惑かけてないかなって」


「大丈夫!こっちのことは

 気にしなくていいよ(*´꒳`*)」



 ……寂しいこと 言わないでよ



「…気になるよ」


「………」



 僕たちの仲をめちゃくちゃにした

 あの先輩のことは 今も許していない


 それに…アミつんのことを



「嫌いになって 別れた訳じゃないから…」


「……っ…ご、ごめんなさい サトちん!」

 そう言って頭を下げたアミつん…



 …困らせたかったわけじゃない



「あ、えっと…いや、なんて言うか…

 会えたことが嬉しくて…」




 すごく焦っていた…

 自分でも 分かる…


 偶然 会えたことに 勝手に縁を感じて

 このまま 連れ去りたい衝動や

 もう一度 抱きしめたいこと…

 そして 苛立ち…


 複雑に絡み合う気持ちが

 一気に押し寄せてくる



「あの、さっき… 一緒に居たのは

 リトミックの先生…

 元親友って人…だよね?」


「…うん」


「……ねぇ、アミつん」


「はい?」


「その人に しつこくされてるとか?」


「え…」



 どうして一緒に歩いていたの?

 仕事だけの繋がりだって言ってたのに




「初めて あの人と会った時から

 何となく 嫌な感じがしてたんだよね…

 アミつん 言い寄られてるんじゃない?」


「あのね…サトちん…っ」


「僕は…あの人のことは好きじゃない!!!!」




 嫉妬でドロドロした言葉が止まらない

 アミつんを 呼び捨てにする あの人とは

 今も…これからも…

 関係無いって言って欲しい




「あの人と一緒にいるアミつんを

 …見たくないんだ」



 アミつんの中の…元親友の存在


 前に 彼との関係を聞いた時

 笑ってはいたけど

 何となく表情に影を落とした

 切ない顔をしていて


 何らかの原因で

 離れざるを得なかったような…

 そんな雰囲気だった




 つい最近まで 僕と一緒にいたのに…


 あんなことさえなければ…


 今頃 僕の隣には…





 ── 取り返したい ──





 憤りに似た感情が突き上げてくる

 じんじんと音を立てて湧き上がってくる


 きっと 今の僕は

 妬みに駆られた酷い顔をしてるんだろう



 S市に行っても

 アミつんを思い出す


 ひとり帰る部屋

 にっこり笑いかけるアミつんが

 華やかな影になって


 離れて尚更

 愛しさが増していったんだよ




「アミつん、僕ね…後悔してるよ」


「………」



「あの時は 勢いで別れようって

 言っちゃったけど

 じっくり話し合えば

 何とかなったんじゃないかって…

 離れることもなかったんじゃ

 ないかって……」


「………」


「遠距離になっちゃうけど

 僕が たくさん会いに行くから!

 寂しい思いは させないから!

 だから もう一度…っ…」



「ありがとう…

 そう言ってくれて嬉しい…」




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 → さとしの従兄 仁



 お客さんが今日は少なくて

 早めに店仕舞いと思い

 暖簾を下げた



 ちょうど

 さとしが荷物を取りに来ると言うので

 早めに帰ろうと片付けを始めてると



「兄さん…」


「お!智っ…え…お、お前っ…( ⊙Д⊙)」



 智が アミさんを連れて

 店に入ってきた



「こんばんは!すみません…急に…」


「いえいえ…」



 前に連れてきた 接吻先輩とは

 やっぱり違う


 智は アミさんと別れたあとも

 ずっと辛そうにしていた

 転勤は ある意味 ここを離れる唯一の

 救いだったのかもしれない


 でも…今

 アミさんを連れてきたってことは…

 もしかして 復縁か?



 だったら 嬉しいなぁ…



 お客は居ないが

 シーンとした店内で話すのも

 気が引けるかと

 いつもより少しBGMのボリュームを上げて

 俺は厨房へ 引っ込んだ



 もちろん なんの話なのか 気にはなるが

 会話は聞こえてこない



 『頑張れよ…智…』

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