第17話… 変わらないもの

 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜




 → スタジオを掃除しているのぞむ



 ブーッ…ブーッ…


 スマホのディスプレイには

 マサ先生の名前が



「マサ先生?」


 ──「のぞむ先生、すみません!

 今日の練習ですが…」




 。゜⋆。゜⋆。゜⋆。゜⋆




 電話口のマサ先生から聞いた SNSの話…



「…は?何だそれ!!!

 …で、アミは…大丈夫なの?」


 ──「アミ先生は 別の先生と一緒に

 帰りました…また連絡します!」



「うん、わかったよ…」




 プーっ、プーっ…



「・・・・・・」




 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜




 ある保護者の方が見つけて教えてくれた



 #S幼稚園教員 #らぶほ

 #A先生 #二股

 

 タグ付けされたSNSの投稿




 私のせいで

 幼稚園に迷惑かけてしまった…



 途中まで一緒に帰ってくれた

 カナ先生と別れて 1人歩いていると

 言い知れぬ不安に襲われた



「・・・・・・気味が悪い」



 時々、後ろを振り返って確認

 まっすぐ家に向かわずに

 何となく遠回りして歩いて

 たどり着いた場所





 "…何年も来てなかったのに"




 見上げた先には

 のんと良く来ていた喫茶店が…


 何かあると ここへ来て

 大好きなケーキを食べて

 気持ちをリセットしてたっけ…



 うわぁ…慣れとかクセって恐ろしい…




 …よしっ、この際だから 食うぞっ!!




 *・゚・*:.。.*.。.:*・゚・*:.。.*.。.:




 全然変わってない お店の雰囲気



 自動ドアが開くと

 香ばしいコーヒーの香りと

 ショーウィンドウに

 ズラリと並ぶケーキたちが

 私に甘ったるい誘惑を仕掛けてくる…



 "ほら 私を食べて元気だして〜ウッフゥン♡"



 やられた…( *¯ ꒳¯*)…即KO



〚た…食べるってばぁ〜.。゚+.(・∀・)゚+.゚〛



 自然と

 レジ前にいる店員さんへと

 歩みを進める



 この店員さんも変わらないなぁ…




 。゜⋆。゜⋆。゜⋆。゜⋆




 レジカウンターで注文して

 好きな席に座って待つシステムも

 相変わらず




「いらっしゃいませ!こんばんは!

 ご注文は お決まりですか?( ˆ∀ˆ )」



 メニュー表を見る



 "ぎゃー!

 新作 抹茶シフォンぜんざい…だとぉ!!

 キミに決めたっ!…"



「えっと〜 …」



 指をさして注文しようとした その時



「ベイクドチーズケーキ と カフェオレ、

 あと チョコブラウニー 生クリーム多めで!

 それと エスプレッソ!」


「やーーーっ!」


「あれ?違った?(*´꒳`*)」



 後ろの声に振り返ると

 にっこり笑うやつがいた




 。゜⋆。゜⋆。゜⋆。゜⋆




 → 当たり前のように 席に座った私たち



「なんで ココにいるの!?」


「もう、何年も来てなかったけど

 変わってないな ココ!」



 キョロキョロと辺りを見回して

 興奮した口調で話すのん



「話、逸らすでない!お主!」


「…何となく、アミがここに

 来てるような気がしてさ(*´꒳`*)」



 そう言って優しく笑う



 弱ってる時に

 その笑顔は…今は…




「…はぁっ〜(´△`)出たよ!

 "エスパー"…(´艸`)プッ!」


「そうそう!エスパーなの、俺(´∀`*)アハッ」




 …再会した時は

 全部忘れたって言い放ったけど


 嫌でも 思い出すもので…



 お互いのどちらかが落ち込んだ時

 ココで美味しいケーキを食べて

 バカ笑いをして 嫌なことを忘れる


 あのころは それだけで元気が出た



 しかも、私の

 お気に入りケーキとコーヒーまで

 覚えてるとか…



 ・・・・・・



「マサ先生 何か言ってた?」


「…普通に、今日の練習は中止で!って

 言ってくれれば良いのにな…

 マサ先生も親切に教えてくれたよ…」


「…そっか、聞いたんだ」


「……大丈夫か?」



 投稿されたSNSの画像をのんに見せ



「この"二股"っていうワードに

 ちょっと引っかかっていて…」



 仲良かった頃みたいに

 自然と のんに疑問を投げかけていた



「ん〜 …アミに彼氏がいることを

 知ってるような感じ…ってことだろ?」


「うん…」


「幼稚園の人達は 違うとして

 …他の第三者か?」


「全然分からない…(。´-д-)ハァ-」



 大きなため息をつくと

 先程注文したケーキと飲み物が

 運ばれてきた



「お待たせ致しました!」




 *・゚・*:.。.*.。.:




「ん〜!全然変わってない!美味しぃ!」


「ホントだ、美味うまっ!」



 食べることが好きだった私たち…

 ここの喫茶店は

 甘いもの好きの2人にとって

 この上ない幸せを与えてくれる場所


 変わらない味に感動しながら

 あっという間に食べてしまった



「食べたら すぐ帰った方がいいな」


「え?」


「"二股"…俺と疑われるのも嫌だろ(´∀`*)」


「うわっ、イヤだね!」


「あ、言ったな!(≧∇≦)ブヒャヒャヒャ

 何かあったら連絡しろ!

 …まぁ、俺の立ち位置〚親友〛だから

 余計なお節介か!」


「うん、ありがた迷惑!(*´꒳`*)」


「……」


「じゃあ、帰るね」


「おう…」



 。゜⋆。゜⋆。゜⋆。゜⋆




 → アミの背中を見送るのぞむ



 連絡なんか来るはずない…

 俺の番号は…もう消してるだろうし…



 ありがた迷惑…だよなぁ…



「はぁ…(´△`)」

 やっぱ 元には戻らないか…




 *・゚・*:.。.*.。.:*・゚・*:.。.*.。.:




 → 自宅に戻ったアミ




 あの画像をもう一度見る



 マサ先生と一緒に

 スタジオに行くのは辞めよう…




 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜




 あのSNS事件から数日

 投稿が削除されていたせいか

 幼稚園にも問い合わせは無くて


 一応、不審者対策として

 最寄りの交番には

 園児に何かあっても困るので

 幼稚園周辺の見回り強化を

 お願いした




 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜




 ダンスの練習も再開…

 体を動かしていると

 嫌なことも忘れる…没頭できた



 ダンスの練習終了後も

 時間をずらしてマサ先生とは別々に帰る



 …今日は金曜日

 サトちんが泊まりに来る



 帰り支度をしていると

 のんに話しかけられた



「あれから なにか変わったことはない?」


「うん、嘘みたいに平和だよ…」


「なんだったんだろうな…」


「ホント…迷惑な話だよ

 あ、今日も早めに切り上げてくれて

 ありがとう!」


「2人とも、ほぼ完璧に

 仕上がってるからな〜

 まぁ、俺の教え方が

 良いからなんですけど( *¯ ꒳¯*)ドヤッ」


「そうですね、のぞむ先生の

 おかげですよ(´∀`*)フフッ」


「気をつけて帰ろよ…」


「はい!じゃあ失礼します」


「おつかれ〜(*>∀<)ノ))」





 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜




 → 仕事を切り上げたさとし



 今日は待ちに待った

 アミつん邸に泊まる日


(*´△`*)でへぇ〜

 早く行かないとぉ♡



 帰り支度を急いでると

 ユマ先輩に声を掛けられた



「あ、智くん!これからご飯どう?」


「えっ!これからですか?!」


「ほら、前に言ってたお礼の…」


「あ〜!!」


「私、今日しか都合つかなくて…」


「そうなんですね…えっと…どうしよ…」


「またカノジョと会うの?

 だったら ご飯終わってから

 会えば良いんじゃない?

 職場の先輩との食事だよ?

 それくらい許してくれるでしょ?

 そんなに心の狭いカノジョなの?」


「いえ、そんなことないです!」


「じゃあ、行こうよ!

 ご飯食べたら解散なんだし〜♪♪」



 先輩は最近、アミつんの話題には

 トゲのある言い方する


 そうだよな…後輩のノロケ話とか

 聞かされるのはイヤだよね…


 強制っぽいけど

 前に先輩とご飯の約束もしていたし

 先輩が言うように

 ご飯終わったら会いに行けばいいか…



「わかりました!

 ちょっと彼女に連絡していいですか?」


「どうぞ♪♪」




 その場で アミつんにメッセージを送った




 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜




 → 急いで帰宅したアミ



 サトちんが来る前に

 部屋の片付けしないと!



 掃除機に電源を入れようとすると

 スマホが震えている



「サトちんかな?」




 "アミつん!ごめんね!

 先輩とご飯食べに行くことに

 なっちゃった(T^T)

 食べ終わったら そちらに向かいます♡"



 "わかったよ!待ってます!"

 と返信



 じゃあ、帰ってくる前に

 買い物済ませちゃお…




 私のご飯も買ってこようっと!

(((╭( ・ㅂ・)╯テクテク


 掃除を済ませ

 買い物に行くことにした




 ゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*:.。. .。.:*・゜゚








 … 買い物には 行かない方が

 良かったのかな



 … 家にいて 大人しく

 サトちんを 待っていた方が

 良かったのかな

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