第31話 いよいよチート感出てきたぞぅ

 『初めての禁忌:同族喰らい を達成しました』

 『ユニークスキル:暴食 を獲得しました』


 「………は?」


 私は脳内に響いたそのアナウンスの意味を理解するのに数秒を要した。まず、「暴食」とかいうユニークスキルを獲得したらしい。「憤怒」に引き続き二つ目のユニークスキルだ。ふむふむ、なるほど?ユニークスキルということはやはり強い効果だったりするのだろう。あとで効果を見ておこうね。

 それよりも注目すべきは初めの一文だ。「初めての禁忌:同族喰らい」とかいうアチーブのアナウンスだ。つまり………どういうことだ?名前からして同族を食べたときに獲得するのだろう。禁忌、ね………ふむ。

 まずいな、冷や汗が流れてくる。


 「ど、ドーラ?このスープの材料、主にこの肉とか何の肉とか知りたいなぁ………はは」


 震える唇でなんとかそれだけ紡ぎだし、ドーラに問う。頼む、私の杞憂であってくれと願う私の想いはドーラに────


 「ああ、それは多分同胞の尻尾だね」


 伝わらなかった。


 「あ、ああそうなんだ………」


 いや、だが待とう。尻尾だ。尻尾ならセーフなのではないだろうか(?)うん、そうだな。尻尾は大丈夫だ尻尾は。うん、大丈夫大丈夫。


 「へ、へぇ~………うん、美味しいね。ところで私ちょっとおなかの調子が朝から悪くてさ、大変申し訳ないんだけど、残りはラコかドーラが食べてくれないかな?」


 「あ、そうなんだ。いいよ、お大事ね」


 「うん、ありがとう」


 尻尾はセーフだ。うん、だってほとんどトカゲの尻尾じゃん。全然平気だよ。うん。

 え、というかちょっと待って。尻尾って………何?生きてる同族の尻尾を切り落としたってこと?それとも死体から剝ぎ取ったの………?


 うん、考えないようにしよう。美味しかったなぁ………ははは。




 「と、というか、なんで急にそのぅ………料理?振舞ってくれるつもりになったの?前はこんなことなかったよね」


 「ああ、それね。この料理は私たちの仲間の一員と認めた証明のようなものなんだ。そういえば振舞っていなかったと思ってね」


 「ほ、ほぉ~ん」


 おけ、大体理解した。うん、都合のいいところだけ考えよう。つまり私は今日この村に仲間として歓迎されたらしい。やったね!まあここは竜人と真竜人の村のようだし、竜人である私からしてこれは不都合なことではないのだろう。多分。そう言えば結局真竜人になる条件って何なんだろう?

 そして、「暴食」とかいうユニークスキルを獲得することもできた。


『暴食』

相手の一部を摂取することによって対応した一部ステータスを増加させることができる




 ふむ、ふむふむ?相手の一部を摂取………摂取?することによってステータスを上げられる。相手を吸収して自分を強化する的な?おぉう、これまた凄まじく強そうなスキルが来たものだが、摂取ってまさか………経口摂取?

 いやいやまさかそんなことあるわけないよな!!きっとスキルを使ったらなんか食べる用のでっかい口か何かが出てきてモンスターをバクっといっちゃうんでしょ?あはは、変な考えが浮かんだ自分を叱りたいねまったく。そうと決まればテストだテスト。


 「ドーラ、ちょっと今からイノシシ狩ってくるね!」







 さて、結果を発表しようか。はい、経口摂取でした!パチパチパチ!イノシシに嚙みつきに行った私の雄姿を誰か褒めてほしいものである。そして使ってみた感想だが、なんか、こう。やばい、強い。

 まず、一日に一回しか使えない。まあこれはいい、「憤怒」と同じだしね。そしてこのスキルをレベル90前後の大イノシシに使って上昇したステータスなのだが


 『STR:97→106』


である。そう、9だ。それがレベル90を吸収して上昇したステータスである。余談だが、このゲームではレベル1つ上がるごとにステータスポイントが5ポイントほど貰え、それを割り振ることでステータスを強化することができる。つまり私は今この瞬間一気にレベルが2くらい上がったことになるの!それを考えて、今後毎日イノシシを食べていった時のことを考えてほしい。ほら、ちょうつよいね!


 「うーん、チートでは?」


 まあいいや、私が強い分には何の問題もないしね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る