1日ひと小説

ANNZY

火星君

僕の友達は火星人だ名前は火星と書いてマーズ君。僕と掃除場所が同じなのだけど、この時テンションが高くてそのときに教えてくれた、「皆んなには内緒ね」とも言っていた。僕はビームは出せるの?と聞いたけど「うんん」と目を逸らせてそう答えた。次になんで来たのと聞いたら「お父さんとお母さんが来たからこっちで生まれたんだよ」と答えた。僕が聞きたかったこととは違ったから、なにに乗ってきたのと聞いたけどうつむいたままで全然答えてくれなかった。掃除時間が終わった。僕は他にもたくさん聞きたいことがあったけれどクラスも違ったので聞けなかった。次の日の掃除時間にまた嬉しそうにUFOを見に行こうよと話しかけてきた。僕はやっぱりマーズ君は宇宙人なんだと確信した。放課後になって下駄箱でマーズ君を待った。彼はいの一番で降りてきて、弾んだ声で「行こう」とだけ言った。僕たちの街は土砂崩れした土地の上に家を建てていたからかなり坂道が多かった。坂道を登って行き街全体が見下ろせる公園まで来た。「ここでなら見れるよ」とジャングルジムの上に座って笑顔でマーズ君は言った。二人並んでUFOを探した。すると遠くの大きな雲の奥からオレンジと白に光る何かが現れた。「ほら見てUFOだよ!!」と目を外すことなくそう言った。だいぶゆっくり動くそれは太陽に照らされた飛行機であった。僕は「すごいね!あの飛行機に乗ってきたの」と聞いた。「そうだよ」と僕の方を振り向いて答えてくれた。その後は僕たちは流れていく機体を何も喋ることなく見つめていた。蝉の声だけが響くとても心地の良い時間だった。

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