第2話 星の神殿への旅
夜が明け、星の船はゆっくりと目的地へ向かって進んでいた。勇斗はリリスとカイと共にデッキに立ち、前方の星々を見つめていた。星の神殿に到着するまで、まだしばらく時間がかかるとリリスが説明してくれた。
「星の神殿には古代の力が宿っています。その力を解放することで、あなたの力も完全に目覚めるでしょう」とリリスは言った。
「でも、どうして俺が選ばれたのか、まだよくわからないんだ」と勇斗は心の中の不安を口にした。
カイが静かに答えた。「選ばれし者には、それぞれの運命がある。君の場合、その運命が光の力を持つことだったんだ。」
「運命か…」勇斗は呟いた。「俺にそんな大きな役目が務まるのか、正直自信がないよ。」
リリスは勇斗の肩に手を置き、優しく微笑んだ。「大丈夫です。私たちがいますから。あなたは一人ではありません。」
勇斗はその言葉に少しだけ安堵を覚えた。彼はリリスとカイの存在に感謝しながら、自分の決意を再確認した。
数時間後、星の船は目的地に近づいていた。遠くに見える大きな建造物、それが星の神殿だった。神殿は光を放ちながら、宇宙空間に浮かんでいるように見えた。
「すごい…これが星の神殿か」と勇斗は感嘆の声を漏らした。
「はい、ここであなたの力を解放するための儀式を行います」とリリスは説明した。
船が神殿の入口に停泊し、三人は慎重に船を降りた。神殿の入口は大きな扉で閉ざされていたが、リリスが手をかざすと扉が静かに開いた。
「さあ、行きましょう」とリリスは言い、三人は神殿の中へと足を踏み入れた。
神殿の内部は広大で、古代の彫刻や絵画が壁に描かれていた。中央には大きな祭壇があり、その上には輝くクリスタルが置かれていた。
「これが…?」勇斗はクリスタルに目を奪われた。
「はい、このクリスタルがあなたの力を解放する鍵です」とリリスは頷いた。「祭壇に立ち、クリスタルに手を触れてください。」
勇斗は少し緊張しながらも、祭壇に近づいた。そして、クリスタルにそっと手を伸ばした。その瞬間、クリスタルが強烈な光を放ち始めた。
「うわっ!」勇斗は驚き、手を引っ込めようとしたが、光に包まれて動けなくなった。
「勇斗!」カイが叫んだ。
「大丈夫、これは儀式の一部です」とリリスは冷静に言った。「勇斗さん、そのままクリスタルに触れ続けてください。」
勇斗はリリスの言葉に従い、光の中で耐えた。すると、彼の体に温かいエネルギーが流れ込んでくるのを感じた。
「これは…俺の中にある力なのか?」
光が収まり、勇斗はクリスタルから手を離した。その瞬間、彼の体は力に満ち溢れ、心に確かな自信が芽生えた。
「成功しましたね」とリリスは微笑んだ。「これであなたの力は完全に目覚めました。」
「ありがとう、リリス。カイ、これで俺も戦えるよ」と勇斗は決意を新たにした。
「それでこそ勇斗だ。これからが本当の試練だ」とカイも微笑んだ。
神殿から出ると、勇斗たちは次の目的地に向かう準備を始めた。しかし、その時、突然の揺れが彼らを襲った。
「何だ?!」勇斗は驚き、周囲を見回した。
「これは…闇の力だ」とリリスは険しい表情で言った。「闇の王の手下が来たようです。」
勇斗はその言葉に緊張が走った。初めての戦いがすぐそこに迫っていたのだ。
「俺たちで迎え撃とう」とカイは冷静に言い、剣を抜いた。
「うん、俺も戦うよ」と勇斗は拳を握りしめた。
リリスも魔法の杖を構え、「勇斗さん、カイ、準備はいいですか?」と確認した。
「準備はできてる。行こう!」勇斗は強い決意を込めて叫んだ。
闇の王の手下たちが現れる前に、勇斗たちは戦闘態勢を整えた。光と闇の初めての激突が、今まさに始まろうとしていた。
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