第14話 新たな婚約者

 入学して7日にしてダメアンを攻略。

 本来エミリアは2ヶ月くらいでダメアンと婚約、3ヶ月くらいでダメアンともディアナとも関係を切る。


 今回このどちらもなくなったエミリアにはどんなルートが待ち受けているのか。3ヶ月経ったあともエミリアは私と仲良くしてくれるのか。


 それを探るためにも、私とアーサー殿下はこのまま自然に学院生活を送ることとなった。

 アーサー殿下は学院の授業だけではなく、王族としての公務も立派にこなされているお方。

 私にかまってる時間なんて全然ないと思うんだけど、彼は必ず朝おはようのメッセージと、夜にその日あったことのやり取りをしてくれる。


 多分何でもない関係のはずなんだけど、そのやり取りはさながらバカップルだった。

 はぁ、私、殿下のこと真剣に好きだ。憧れの推しからこんなふうに愛されて好きにならないはずがない。

 それに殿下が自らハニートラップであるフラグを断ってくれた。エミリアが無事幸せになって、私が悪役から解放されたら、私は彼とこのまま永遠に幸せになれるんだろうか。この幸せがいつまでも続くんだろうか。


⸺⸺そんな期待を抱えて、気付けば半年が経っていた。


 ダメアンが来る訳でもなく、エミリアと喧嘩をする訳でもなく、ただただ平和な時が流れていた。


 このまま音沙汰無くては逆にエミリアが幸せになれなくないか?

 そう思っていると、エミリアから遂に婚約の報告をされるのである。



⸺⸺入学から半年後、前期学年末考査後のある日のランチタイム。


「ディアナ、私ベックマン伯爵のご子息のアラン・ベックマン様と婚約をしたの」


 来た! って……あちゃー、アランか……。


「そうなの? おめでとう! エミリアいつの間に伯爵のご子息と面識があったのよ」

 とりあえずは喜んであげないと。そう思って祝福の言葉を贈る。


「それが……まだ一度もお会いしたことがないのよ」

 出た、ここは本編通りの展開か。

「そっかー……ご両家の間で決められたのね。アラン様、素敵な人だといいね」

「うん、本当に……今月の終わりに初めてお会いするの。そしたらディアナにも報告するね」

「うん、待ってる!」


 その日の授業後、早速アーサー殿下にご報告する。

『お忙しいところ失礼します! ついにエミリアに婚約者が出来たのですが、イマイチかもしれません( ´:ω:` )』


 すぐに返事が返ってくる。

『ついに動き出したか。今日ならなんとか時間が取れそうだから19時半頃俺の部屋に来てくれ。夕食を用意して待っている』


 わぁ、ご飯一緒に食べられるんだ……嬉しい!

『わぁい⸜(*´ᗜ`*)⸝♪ 19時半頃お伺いします!』


⸺⸺


 ピッタリ19時半に転送装置を使ってアーサー殿下の部屋にお邪魔をすると、彼はソファに横たわっていた。


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