第3話 独り反省会をしよう
2度目の入学式中。
私は脳内で独り反省会をしていた。
⸺⸺
本来の物語の流れでは、中間考査前にエミリアはダミアンから婚約を申し込まれる。
受けるつもりだと親友のディアナへ話す。
ディアナへダミアンを紹介する。
ある日の授業後、空き教室でディアナとダミアンがいちゃこらしている現場を目撃。
エミリアが見ていることに気付いたディアナは、目の前でダミアンへ熱いキスを送り、エミリアの前まで行って悪魔のような形相でエミリアのことを罵る。
エミリアが固まっていると、ここで前の段階で選択していた本来のヒーロー、例えば騎士科の国の第二王子などがエミリアをかばいに来て、ディアナとダミアンの悪事が世間に露見する。
という流れだ。
⸺⸺
私はあそこでダミアンと会わなかったことは正解だったと思う。
だけどその後、もうこれで大丈夫だと高をくくっていたのがマズかったんだ。
そしてもう1つの誤算。それは、このディアナの身体はお酒に弱い体質だということ。
いくら転移前の私がお酒に強かったとはいえ、この身体はディアナのものだ。そこももっと慎重に考えるべきだった。
じゃぁ、それを考慮してパーティに参加しない? それとも、お酒をあまり飲まないようにする?
後者で行こう。
お酒に酔いさえしなければ大丈夫。ダミアンが女子寮までついてこなくちゃいけない事態を回避すればいいんだ。
その後もエミリアとなるべく一緒にいて、1人にならないようにする。
よし、これで行こう。
「ディアナ、ディアナ?」
「あっ、エミリア?」
私は突如独り反省会から現実へと戻された。
「どうしたの? 次は寮の説明だよ。早く行こう?」
エミリアにそう言われて辺りを見回すと、同学年の生徒らがゾロゾロと会場から出ていくところだった。
「そ、そうだね、ごめんごめん、行こっか」
そして私は1週目と同じ『魔道科女子寮』の2階の3号室へと落ち着いた。
そして何事もなく前回と同じ授業を受けて、中間考査の1ヶ月前、エミリアからダミアンとの婚約の報告を受け、祝福をする。
その時のエミリアの私へと紹介したいという申し出は前回と同じセリフでやんわりと断った。
ここまでは順調。何もミスはしていない。
そして中間考査。
私は前回よりも良い出来だったと思う。だって、問題が前回と同じなんだから。
全ての試験が終了すると、エミリアが当たり前のように私を立食パーティへと誘ってくる。
私はその誘いを受け、パーティ会場へと足を踏み入れた。
そこで、前回とは違った出会いを見つけることとなる。
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