完璧ブラコン番長と町の謎

肥前ロンズ

プロローグ

 草木も眠る丑三つ時。

 私は、自分の身体より三倍はある大蛇と対峙していた。

 私は空中で持っていた刀を大きく振り、大蛇の身体を両断した。

 ふわり、と羽織っていた『かくりよの衣』が、月光を浴びて舞う。

 すとん、と、ゆっくり私の身体は地面に着地した。

 月が照らす美しい夜。

 影が落ちるアスファルトの上で、座り込んでいた男の子と目が合う。


 ――そう、目が合った。

 普通の人間には視えないはずなのに、彼の目には、しっかりと私の姿が映っていた。


「小野…………か?」


 そして私は、後になって知る。

 その男の子は、私がついこないだ転校した学校の、有名な男の子だということに。

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