求命の剣

人型汎用決戦兵器人造怪物ヤマンゲリオン

第一話 入学①

その日は縁起が悪い日というわけではなか最悪な日だった。

季節があいまいで、両親が死んだとても寒い・とても暑いということもなく、姉が死んだこれといった特徴のない最悪であるべき日だった。

そんな特徴のない日だからだろうか。なぜ家族が死んだのかはよく覚えていない鮮明に覚えている

ただ漠然と、強烈に、能力者犯罪そのものへの家族の仇であるはずの相手に、仄暗い恨みの念がくすぶり続けている。殺人鬼そのものに恋焦がれた


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まだまだ暑いが季節的には秋だと呼ばれる9月。


我らが国立「高度能力者育成機関」略して「能成」の入学式がやってきた。その事実を、事前に引っ越しをすました寮の自分の部屋、そのベットの上で改めて確認し二度寝する...前にベットから出たくないっ!と抵抗を続ける自分の本能を押さえつけ、切り刻み、無理やり起きる。


契約している弁当屋の《扉》から出来立てほやほやの朝ご飯を取り出し、胃に流し込むと、爆速で身支度を済ませていく。


玄関で靴を履き、家族に「行ってきます。」と告げると、少年は期待と罪悪感で胸がいっぱいになった。その罪悪感から逃げるように今日の持ち物の確認をする。


自分は大切な時ほど基本的なところで失敗をするし、運が悪くなる、と自覚している少年は念入りに持ち物の確認(特に生徒帳)を行った。また、それらのことを自覚しているからこそ、初日くらいは遅刻したくない少年は、集合時間の45分ほど前に出発しようとしている(寮から校舎までは徒歩5分程度なのにもかかわらず)。


これは遅刻する訳がない。それこそ「世界変貌」にでも巻き込まれない限りありえないだろう、と自身の用心深さっぷりに少年は満足したようにうなずいた。


そして、今日これより入学することになった学び舎への第一歩を踏み出した!







「迷子なっちゃった...」



上下左右がねじれゆがんだ建物・道に覆われた、その場にいるだけで違和感により気分が悪くなる、そんな世界。その中で少年は頭を軽く掻きながら、少し困ったように、冗談めかしてそう言った。

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求命の剣 人型汎用決戦兵器人造怪物ヤマンゲリオン @yutayamamoto2

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