ひざの上のにゃんこ

小糸 こはく

第1話 「みー」をおむかえ

 わたしはネコと暮らしています。

 ロシアンブルーの女の子で、名前は「みー」です。

 彼女は今も、わたしの膝の上にいます。わたしがPCの前に座ると、だいたい膝に登ってきます。


 みーとの出会いは、8年前。

 初めて飼ったネコが天国に行ってしまい、寂しい思いをしていた頃です。


 ネットのネコ画像で寂しさを埋めていたわたしは、あるペットショップの「セール対象にゃんこ」の中に、彼女を見つけました。

 その子は前の子とおなじ誕生日で、種類もおなじロシアンブルー。

 画像を見る限り、見た目もそっくりでした。


(あれ? この子もしかして、あの子の生まれかわり?)


 そう思いました。

 これほど「似ている子」を見るのは初めてでしたから。


 その子の情報を確認すると、生後半年ほど。値段は最初につけられていたのの半額以下です。セール期間中だったので。

 何枚かの紹介画像、その一枚に「口を開けて鳴いているところ」があって、


「おそいにゃ。はやくむかえにきてほしいにゃ」


 と言われているように思いました。

 お店は県内。電車で2時間ほどの距離でしたので、わたしはすぐにペットショップに予約をして、次の休日にはその子に会いに行きました。


 びっくりするぐらい、前の子にそっくりでした。


 抱っこさせてもらうとしがみついてきて、「にゃっ、にゃっ」と鳴きました。


「おうちかえろ? おむかえおそかったにゃっ!」


 と言われているようで、その瞬間に「連れて帰らない」という選択肢はなくなっていました。

 ですが、お店が言うには「すぐには連れて帰れません」とのことで、なんでも「調子が悪くて、病院で診てもらう予定になっている」とのことでした。


「病院での検査が終わってからのお渡しになります。2週間ほど様子を見ますので、その間は待ってください。もし病気だったら、売れないですから」


 病気。前の子を病気で亡くしているので心配でしたが、検査の結果はすぐに出て、


「大丈夫でした。ですが2週間はこちらで様子を見ますからお待ちください。完全にお渡しできると確認できましたら、近くの系列店に送りますのでそこでお迎えください」


 となりました。


 そして今、彼女はわたしの膝の上にいます。

 この瞬間も、キーボードを叩く腕をちょいちょいしています。ちょっとジャマです。服に爪が引っかかるので。

 ですがこの子と一緒に、お話を書いている時間は楽しいです。


 とはいえ、いつまでもこんな時間が続くとは思ってません。

 この子もいつかは、前の子がいる場所に行ってしまうでしょう。

 病気にならなければいいな、と思います。前の子は最後のほう病気で大変だったので、この子は最後まで、わたしの膝でのんびりしててくれたらいいなと思います。

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