わたし育て

◯行雲◯

【咲いた、咲いた】

わたし、種です。

「なにを唐突に」と笑わないでください。


種なので、土があるといいです。

栄養があるとなおいいです。


お水ほしいです。

出来ればたくさんほしいです。


陽にも当たりたいです。

暑すぎるのはちょっと苦手かな。


種になるとわかるんです。

1人じゃ何にも出来ないなって。

恥ずかしいですね。


土の上にたまたま降りれたこと

わたし、ラッキーだったかもしれません。


お水をもらえたこと、

これまたラッキーだったんですかね。


陽当たり良好物件。

これは、わたしがとても運のいい種

だったからとしか思えないや!


最近、頭がムズムズします。

肩もメキメキ痛みます。

お尻もモコモコします。


そんな時は眠ります。


土の温度最高。

土の栄養満点。

土の水分満量。


わたしが起きるとなんと

頭にミドリのフタが!

お尻には白いフサフサのヒモが!


わたし、変身するかもです。


何もない

ただの種でした。


ラッキーが重なりました。

でもこのラッキーは色んなものから

与えられたラッキーと思います。


種のまま終えても

それしか知らないし


つまらないとさえ

感じることはなかったと思うけど


無限ラッキーが降り注いで

今のわたしがいるのかも…なんて思ったら


ちょっと欲が出て楽しくなっちゃいました


頭のミドリとお尻のフサフサを

育ててみようかななんて


「自分育て」


ここからは

わたしがわたしを育てる番みたい


ここまでのラッキーをありがとう!

花かな、木かな、それともただの草?


なんでもいいや。


とにかく土や水や陽があって

変身できそうなことになってきたから


ちょっとわたし、育ってくるわ ◎







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

わたし育て ◯行雲◯ @suemama

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ