魔力ゼロの俺が物理型魔法使いとして無双する。-杖で殴って何が悪い-【リメイク版】
水無月
〜序章〜
第零話 「魔力ゼロの魔法使い」
数ある作品の中から見つけて頂きありがとうございます。良ければ最後までお楽しみ下さい。
********************
――俺は今、魔王と対峙している。
「なぜだ、なぜ我が……こんな人をバカにしているかのような魔法使いに手こずっているのだ……」
「知らん。お前が弱いだけだ。あとバカになんてしていないしお前は人じゃない。これが俺の戦い方だ。文句なら俺に魔法使いなんて職業を与えたヤツに言え」
魔王は地に膝を着き息が荒い。一方俺は右手に杖を持ち、無傷。どちらが優勢かは
「……す、すまない……誰だか分からないが助かった」
勇者は深手を負っている。どうやら動けそうにないようだ。他の勇者の仲間と思われる者も皆倒れている。
「……俺が魔王を倒しても文句言うなよ」
「文句なんて……言うものか………魔王は倒さねば………ならない」
――なぜこのような結末になったのかというと……。
***
俺の名前は
「……なるほど、これは
魔法使いと言えばやっぱり攻撃魔法や飛行魔法だな。誰もが憧れる空を飛んだり、炎を出したり……最高の職業じゃないか。誰が与えた職業なのか知らないが礼を言う。
「ありがとう、神様。……この世界に神様っているのか?」
俺はまず自分のステータスを確認することに。
「開け……オープン……ステータスオープン…………出てこい」
ステータス画面が出てこない。こういうのは普通出てくるキマリだろ? ……まぁ出てこないものは仕方ない。諦めるのも大事だな。
俺は街を見て回ることにした。すると見たことの無い文字が街の至る所にあった。
「見たことない文字ばっかだな……でも不思議だ。読めるぞ」
一度も見た事がないのに読める。これは異世界転生のギフトか?
翻訳が必要ないのはありがたい。俺は気になる店を見つけた。
「魔力測定……店? ……これだ!」
俺は早速店に入ることにした。
「いらっしゃい」
「どうも。あのー、魔力を測定したいんですが」
「あー、魔法使いの方ね。はいはいじゃあそこの水晶に手を置いてください」
このような事は何回もしているかのような手馴れた手さばきだ。
老婆の案内に従い俺は水晶の上に手を置く。
「………フムフム、あんた冒険者かい?」
「……え、えぇまあ」
まだ冒険者登録とかしてないけど、どうせこの後するつもりだしいいか。
俺は老婆に冒険者と答えた。
「あら……残念だねオニイサン。あんた魔力ゼロだよ」
「………………え? 今なんて?」
「いやだから魔力ゼロなの。うちも長いことやってきたけどね、魔力ゼロの魔法使いさんなんて見たことがないの」
おいおい嘘だろ? 壊れてんじゃねーのかその水晶。魔法使いが魔力ゼロとかそんな訳ないだろ。これ以上話していてもしょうがない。俺は
「……いや、そんなはずはない。魔法使いだぞ? 魔力ゼロってなんだよ。魔法が使えないってことか? 魔法使いなのに魔法が使えないなんて聞いたことないぞ……よし次だ」
運がいいのか悪いのか、この街を見て回ると至る所に魔力測定店がある。なぜこんなにあるのかは分からないけど、恐らく俺のような間違った結果が出る時があるからだろうな。
「……ゼロだネ」
「うむ、ゼロじゃ」
「ゼェェェェェェロオォォォォォォォッ!」
俺は次々と魔力測定店に入る……が、結果は全て同じ。
え? そんな嘘だろ……ほんとにゼロなのか? じゃあどうやって戦えって言うんだよ。魔法使いだぞ? あと最後の店だけやけに腹が立つ言い方で思わず杖で殴りそうになった。
「……仕方ない。武器屋に寄って、剣士にでもなるか」
魔法使いから剣士か。まぁ魔法が撃てないのは残念だが、剣士としてやって行くしかない。そう思って街を散策していると、武器屋を見つけた。
「いらっしゃい! なんでも揃ってるよ☆」
「……あ、うん」
何だこの獣人ギャルは。ほんとにこの店の店員かよ。まぁいい、とりあえず武器だ。武器が手に入れば何でもいい。
「あのー武器欲しいんだけど」
「はいだよー! 何が欲しいの? ショートソード? 杖? 盾? なんでもあるよ☆」
杖もあるのかこの店。確かになんでもを
「ショートソードで」
「ショートソードだね! だったらこれがオススメだよ☆」
獣人ギャルが薦めてきた銀色のショートソード。至って普通だ。
「見たところ、見習い魔法使いっぽいし、剣士になりたいならまず最初はこんな所だね☆」
「なるほど……まあこれくらいでいいか。あんまり高いのは買えな――」
俺がショートソードを手に取ろうとした瞬間――
手に一瞬だったが、稲妻が走るのが見えた。
「――イテッ!?」
なんだ!? 今雷が出たぞ。おいおいまさか……
「あ~ね。やっぱり出ちゃったかぁ。時々居るんだよね。クラス替え出来ない人がさ☆」
「え……ってことは俺魔法使いのままってこと?」
「そうだね☆」
嘘だろ……魔法使いなのに魔法使えないとかシャレにならんぞまじで。俺はその後色んな武器に触れ、試して見た。結果はと言うと……全て惨敗に終わった。魔法使いのまま進めってことか。難易度高すぎるだろ……せめて一個でいいから魔法使わせてくれよ……。
「また来てくださいね~☆」
多分もう来ないだろうな……。
「うーんとりあえず冒険者登録でも済ますか」
俺は冒険者ギルドへと向かった。
冒険者ギルドの受付のお姉さんに言われる通りに登録を済ませる。名前を記入する欄がある。俺は日本語以外知らないので日本語で書いた。すると、瞬く間にこの世界の文字に変わった。
「すげぇ……」
「……ご記入頂きありがとうございました。こちらがあなたの冒険者カードになります」
……これが俺の冒険者カードか。どれどれ……
◇◇◇
《
Lv.1
HP【500/500】 MP【0/0】
STR【50】 ATK【50】
VIT【50】 DEF【50】
INT【50】 RES【50】
DEX【50】 AGI【50】
LUK【0】
◇◇◇
やはり魔力はゼロなのか……
俺はとりあえずクエストに出ることにした。
やってみないと分からんものだしな。
***
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
【レベルが五に上がりました】
「……ふぅ。ここら辺の魔物は全員倒したか。にしても案外杖振り回すのもいいもんだな。杖折れちまったけど……仕方ない今日はこの辺にして、またギャルの店で買い直すかぁ」
俺が今回倒したのは犬型の魔物だ。漆黒の体に白い角を生やしている。大して強いわけではない。どこにでも居る、スライムのような感覚で居る雑魚魔物。
俺は倒したモンスターの戦利品を集め冒険者ギルドで換金する。
「ありがとうございました~」
「……たったの千ルピかよ。宿が一泊五百ルピで杖が五百ルピだから………おいおいプラマイゼロじゃねーかよ」
レベルが上がるだけで杖はその
これは安定した生活まで道のりが長そうだ。俺はその日から何度も杖を振るい、モンスター達を狩り続けた。杖を折り、買う、寝る。この繰り返しだ。
【レベルが十に上がりました】
【アビリティ:『不器用な魔法使い』を獲得しました】
レベルが十に上がった事でどうやらなにか獲得したらしい。
『不器用な魔法使い』……だと? なめてんのか!!
杖振り回すしか戦う手段ねぇから仕方なくこうやって戦ってんだろうが! それを不器用だと? 許せねぇ……。
【『不器用な魔法使い:与える物理ダメージが二倍になる』】
なんだよこのアビリティ。まるで杖で戦う前提のもんじゃねぇか。……だが、いいなこれは。これでモンスター達が狩りやすくなる……んだよな? 今まではスライムやら犬型の魔獣やらを相手にしていたが、次はゴブリンにでも行ってみるか。
おっとその前にレベルアップで得たステータスポイントを割り振らなければ。俺はポケットから冒険者カードを取り出し割り振っていく。
「もちろんSTR一択なんだが……」
俺は全てのステータスポイントを
「じゃあ次はゴブリン狩りだな。……っとその前に杖買い直しにいこ」
◇◇◇
《
Lv.10
HP【1500/1500】 MP【0/0】
STR【200】 ATK【50】
VIT【50】 DEF【50】
INT【50】 RES【50】
DEX【50】 AGI【50】
LUK【0】
アビリティ:【不器用な魔法使い】
スキル:【無し】
◇◇◇
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