ツンデレ魔王女様の勇者育成計画

ヤスミ

第1話 勇者の猫は預かった!

「はぁ、すみません、入れてもらっていいですか?」

「ん? あ〜、アーランくんか、お姫様のお願いで簡単に通す訳には行かないんだよ」

「いつも通りっすね、今日はどうします?」

「ここはひとつ、最近街で流行ってるコマ遊びで勝負しようじゃないか」


 俺は今、街の大きなお城の門番と話をしている。

 なんでこんな何の変哲もない男が城に用があるのかとというと、ここに住んでいる王女様にうちの猫をさらわれたからだ。

 いつもいつもさらわれるミャーの身にもなってあげてほしいと言いたいのだが、お城で可愛がられているのか最近はうちで出すご飯にケチをつけるようになった。

 おのれ、肥え舌め……


「おっ、その手はなかなか......」

「シューベルのおっちゃんもなかなか強いな」

「ふふ、今の所全敗だからね、そろそろ勝たせてもらうよ」

「......」


 視線を感じる。

 まあ、気配で王女様のものだとは分かっているのだがどうせそのうち我慢出来ずに声をかけてくるので放置だ。

 それより駒遊びの盤面がもう終盤になってあと数手でシューベルのおっちゃんを倒せそうだ。

 しかし、あちらさんもそろそろ我慢の限界らしくびりびりと魔力の流れからでもわかる怒りが伝わってくる。

 この魔力の流れは雷かな?


「アクアシールド」

「ライトニングハンマー!」


 振り下ろされた雷は水の壁によって受け流されて消えていった。

 空にはむくれっつらの少女がびりびりと雷を纏った手をこちらに向けて苛立ちを露わにしている。

 パンツが見え……ない、とても残念だ。


「おいおい、いきなりだな」

「おっそいじゃない! アーランの事ずっと待ってたのよ!?」

「ごめんごめんちょっと楽しくなっちゃって」

「むぅ!! 早く来なさい!! ミャーちゃんは私の部屋よ」

「シューベルのおっちゃん、またな!」

「末永く幸せにな〜」


 シューベルのおっちゃんに茶化されながら、アイリスに引っ張られて城の中へと入っていく。

 すれ違う人みんながいつもの事だからとスルーするので、軽く会釈をして通り過ぎる。

 もうこの城でアイリスに引きずり回されるのも日常化してしまって、城の警備もメイドも俺を見ると哀れなものを見る目で見られる。


「もう! 約束の時間過ぎてるじゃない!」

「ごめんよ、アイリス」

「ふんっ! 知らない!」

「機嫌直してくれよ......」

「にゃーご」

「ミャーからも何とか言ってくれって」

「にゃふ」

「見捨てないでくれ〜」


 バカにするように鼻を鳴らすとミャーはアイリスの部屋に用意された自分専用スペースで丸まってしまう。ミャー専用スペースはこっちのほうが家のミャー用スペースよりも豪華で最近は帰るときにごねてしまう。

 アイリスのほうは完全にだんまりモードに入ってしまっている。

 こうなると少し放っておいてさらに怒り出すのを待たないと口を聞いてくれないので、その間に誰かに向けてアイリスの紹介でもしようか。


 アイリス

 魔王の第3王女でこの街はアイリスが運営している。

 俺は元々、人間の国の勇者学園というところで過ごしていたのだが、使える魔法が光ではなく闇系の魔法寄りなので向こうでは虐められていたのだ。


 そんなところをアイリスに拾ってもらって今では魔王学園の生徒になり、こうやって良くお城へ招待してくれるのだ。

 招待と言っても丁寧なものじゃなく、あなたは勇者なんだから囚われたお姫様を助けに来なさいということで我が家のアイドル、ミャーをさらっていくという魔王らしい?ものだが。


「もう! なんで謝ってこないのよ!」

「だって口を利いてくれないだろ?」

「うぐっ、悪かったわね! 頑固で!」

「それで、今日は何の用だ?」


 いつもは話し相手になれとか、暇だったからとか会いたかったからとかそんな理由で呼び出される。

 しかし、たまに大事な理由だったりするのでちゃんとこれは聞かないといけない。


「あぁ、そうそうそろそろ魔王学園の夏休みが終わるのよ、あなたを引き抜いてから初めての学校でしょう? 先に伝えておこうと思って」

「なんだちゃんとした大事な話だったのか」

「アーランは私をなんだと思ってるの?」

「寂しがり屋のお姫様?」

「おひっ、お姫様......ま、まあ、悪い気はしないわね、ちゃんとアイリスって呼びなさい」

「はいはい、アイリスお姫様」

「なっ///、今日はその呼び方がいいわ、今日だけよ」


 アイリスは俺に気があるのか名前呼びをさせたがる、こんな美少女に好かれるというのは人間の国では絶対になかった事なので嬉しいのだが......

 嬉しい、嬉しいけど、アイリスのパパ魔王さんの圧が怖くて未だに告白すらできていない。


 もう少し強くなったら告白しようと心に決めて、これからの魔王学園を頑張って行かなければ。


「アイリスお姫様」

「な、なによ」

「俺、魔王学園で強くなれますかね?」

「もちろんでしょう?私よりも、誰よりも強くなって貰わなきゃ困るもの」


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