第10話

義姉視点


 義弟は元から落ち着き過ぎている性格だが、落ちてから更に暗くなって居る。


「義弟は何もしなくてもいいよ。」


「いや、それは」


「いいの!むしろやらないで欲しい。やると失敗するから」


「ごめんなさい。」


最近義弟をたぶらかそうとする女が仕事に誘って居るらしい。


 「義弟は何も出来ないんだから、接客業なんて出来るわけないよ」


「でも、もうこれからもやるって言ってますし」


「断ればいいじゃない!それに義弟がミスして多大な迷惑を掛けるかもしれないよ。」


「確かにそうかもしれないです。」

義弟は勉強は駄目駄目だが、それ以外のことは出来る。だから慣れてしまったら絶対に働くことになる。それだけは駄目。


「そうよ、絶対そうに決まって居る」


 「でも、そしたら新しい働き先をどうしましょう。家族に迷惑ばかりかけられませんし」


「良いのよ、迷惑かけて。義理とは言え家族だし」


「俺は義理とは一切思ってない家族のように思っていますが、それでもやっぱり迷惑ばかりかけたくないです。」

 私はむしろそうしたいし。


「少しは義理と言うことを思って欲しいな」

じゃないと結婚が出来ない。


 「とりあえず、謝って断ってきなさい」


「はい」

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