第49話「アリス射出」


「お嬢、いつでも行けやす!!」

「ありがとうございます!でも、少しだけ時間をください!」


「へい!!」


最早完全に下僕みたいになってしまったドワーフの人達に待ってもらい、私は念話を起動する。

アルシアさん達全員に届く様に魔力周波数を合わせて、私は回線を開いた。


「フェンリルさん、ニーザちゃん、アルシアさん、今そっちまで飛びます!!」


私が回線越しに呼び掛けると、最初に出てくれたのはアルシアさんだった。


『アリスか!戻ってくるのは分かったが………飛ぶ?』

「はい、ドワーフの方々に言って、カタパルトでそっちに飛ばしてもらいます。」

『また随分ぶっ飛んだ方法を………、まあいい。到着までの予想時間は?』

「予定では約5分です!」


その言葉を聞くと、アルシアさんは少し黙ったあと、思いついたように口を開いた。


『アリス、使?』

「……?はい、使えますけど……でも、まだ実戦では……、」

『それでもいい。実は今2人が通信に出れないのは神力を練るのに集中してるのと、時限式の罠が起動してるのもあってな。ああ、罠って言っても2人は別に全然無事だから安心しろ?話もちゃんと聞いてるし。ただ、メインで神術を使えるのがもう一人欲しい。』


そう言って、アルシアさんはある作戦を話してくれた。

私はそれを聞いて頷いた。


「分かりました。私は今から神術の準備をしながらそちらに行きます。なので、タイミングは……」

『それは妾とニーザに任せよ。よいな、ニーザ?』

『ええ、勿論よ。だからアリス。回線はこのまま開いて、準備だけしておいて?』


2人の声が聞けて、私は安心して大きな声で「はい!」と返す。

聞いてて分かってるとはいえ、無事で良かった。

私は聖杖と……に2つの術の準備をし、それとは別に結界を展開した。

複数、それも神術まで並行して行っているのだから、身体が少し悲鳴を上げているが、まだ全然行ける。

私はカタパルトの上で姿勢を直して、ドワーフの人達に声を掛けた。


「準備できました。ドワーフの皆さん、お願いします!!」

「了解!オメェら!お嬢をしっかり目的地へ飛ばせよ!!」


「お嬢の為に!!!」


「恥ずかしいから止めてくださいっ!!!」


同時に叫ぶドワーフの人達に思わず怒鳴ってしまった。

この会話は回線越しに聞かれてる。

アルシアさんは声で分かるくらいに「何があったんだ………」と驚いていたが、それは放置する事にした。


「カタパルト、出力上昇異常なし。発射準備OK………発射!!」

「行きます!!」


凄まじい空気抵抗と共に、私はアルシアさん達が待っている戦場へと飛ばされた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る