友情

 ひとりが寂しいキミのため、そうしてボクはキミの親友になった。

 初めのころ、キミはボクのことなんて見向きもしてくれなかったね。

 それから1年がたち、2年が過ぎ、3年目の春、やっとキミはボクに触れてくれた。

 抱き上げて、一緒に来て、そう言ってボクを連れて行ったのは、たくさんの石が並ぶ広場だった。

「ここにね、僕のお父さんとお母さんがいるんだ」

 その一角にある小さな石の前で、キミはその大きな目から、ほとりほとりと雨をふらせながら、ボクにそう教えてくれた。

「今まで怖くてこれなかったけど、きみが一緒だからやっと来れたんだ」

 ありがとう。そういって固いボクの体をめいっぱいに抱きしめてきたキミ。

 そんなキミを見て、ボクは、ボクが壊れて動かなかくなってしまうまで、ずっとずっと友だちでいよう、そう誓ったんだ。


 あれからいくつも季節がすぎた今も、すっかり大人になったキミの隣にまだボクが友だちとしていて、そんなキミそっくりなキミの子どもたちと、ボクそっくりな小さなボクたちも、とても仲のいい友だちとして、こうして一緒に過ごしている。


 そして、それはこれから先もきっと変わらず続いていくんだろう。

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