俳句 〜新世界の断面を見つけたとき〜

島尾

第1話 もみじ葉が風に揺れるたびに疼き蠢くまぶた

 もみじ葉が風に揺れるたびに疼き蠢くまぶた



 俺がまだ紅葉に興味がなかったとき、アニメの聖地巡礼をしていた。ひとしきり巡ったのでなんとなく寺に(そこは国宝に指定されている大寺院で山の中にある)赴いた。秋の晴れた昼。そのとき初めて紅葉というものがこれほどにまで燃ゆるような赤を見せ、輝く光の如き黄を放ち、ところどころに散見された緑が赤と黄の勢力をやわらげて平和をもたらしていた。それらが風によってそよぐとき、優しいゆらめきと儚い落葉を見た。地面に落ちてもなお赤々とした、または黄の、一枚一枚の葉は「熱」を持って固有の美を呈していた。俺はそれを拾い、スマホで撮影した。

 感動。その一言で紅葉の美を表現するのは難しい。俺が紅葉を見ているとき、赤黄と緑と青空の世界を見渡すために首を頻繁に回しながら景観を感知し、そして思わず息が漏れる。そのとき自分の目玉はどうなっていたか思い出したとき、上の句を詠むに至った。

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