第8話

空の旅は思ったよりも快適だった。

思わず、あの魔女のアニメの主題歌を口ずさんでしまうくらいは。


上空から見るアトラス国は、意外と灯っている光が多く驚く。特に王都は流石に栄えているのがよく分かった。

ファラトゥールの中では、前世で見た宇宙からの夜の地球のイメージが大きい。

この世は前世並みとまではいかないが、ライフラインはかなりしっかり普及している。そのおかげか、ところどころに王都と同様とまではいかないが、小さな光の塊が点在していた。

そして、セレムが滞在しているであろう砦も、国境をなぞるように光の線が引かれている。


その先は真っ暗な森が続き、森を通り過ぎても闇が続いた。

ようやく見えてきた光は王都なのだろうが、その数はわずかで、聳え立つ城ですらほぼ闇と同化している。


・・・・・思っていたより、酷い状況かも。王都でこれじゃあ、地方は火を見るよりも明らかよね・・・・光がほとんどなかったもの・・・

大体この土地は、私が住んでた周りだけ肥沃にしていて、それ以外は魔法の実験の為にあえて荒野にしていたのよね。


ゆっくりとガルーラ国の首都、もといファーラの家があった場所へと向かった。

ガルーラ国は、元々ファーラが所有していた土地だが、五百年前も余り恵まれた土地ではなかった。

ファーラの魔法で自分が住む周りだけ作物が育つようにしていたのだが、それが無ければほぼ死んだ土地のようなものだ。

自分が住む以外の場所では、色々な魔法実験をしていた為・・・・攻撃魔法とか攻撃魔法とか・・・・かなり荒れていた。

なので、人が住めるような土地ではないのだ。それがわかっていたから森を作り結界を張り、誰も立ち入れないようにしていたのに・・・・どこぞのバカが伝説の大魔法使いに挑もうとし、中途半端な事をしてしまった。

しかもご丁寧に、三方向からの一本道。


中途半端よねぇ~。ふざけてるわぁ~。出来ない事をしようとするから、こんな事になっちゃうのよ。

しかもそいつ、初代ガルーラ国の王様になったって言うじゃない?

マジ、ふざけんな!だわ・・・・

あの結界に道作れるくらいの魔力持ちなら、あの土地は人が住むには適さないってわかると思うんだけどな。


セイリオス国にいた時から、ガルーラ国の事は調べていた。

冒険者として活動していた時も、同じ冒険者達から情報は集めていたのだが・・・

あまり、いい話は聞くことは無かった。

兎に角、貧しい国であり、貧富の差が激しい国でもあると。


はてさて、どうしたものか・・・


ガルーラ国をどうするか、未だにいい案は浮かばない。

意外に短気で脳筋な所があったファーラは「国王始末する?」という考えになるのだが、ファラトゥールの場合は一応王女としての教育も受けていた。

国民の為に我々はいるのだと、王族教育の考え方が根付いてる。

そんなファラトゥールだが、色んな事情を加味しても、国王を変えるしか方法は無い事はわかっていた。

ただ国王に関してだけ、ファーラであった時とファラトゥールである今の考え方が違うだけで。


そうは思うも、国王を変えたからはい終わりなんて簡単な事ではない。そこそこの人数の人間が住んでいるのだ。


土地を作物が育つ豊かな土地にすればいいんだろうけど・・・・


だが、魔法で一気に豊かにしていくのも、何か違う気がする。

今現在何の案も浮かばないので、取り敢えずは地下工房に行ってみる事にした。

この状況を打破する何かがあるかもしれないと、期待して。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る