第27話『次郎の頼み』
8月初旬。
俺達は今、7月から開催されているキャラトピアの夏のイベントに参加していた。
使徒様がこのゲームを管理しているし主催しているので、霊宝石をゲッドできるようになっている。
セイラやビナ、サラのレベル上げは、魔王になるまでお預け状態。
弟の空真は地下世界で魔王になれるよう、頑張っているし。
妹の彩良音も天界で天使になれるよう、学業にいそしんでいる。
SRキャラに関してはレベル80まで上げても大丈夫みたいだ。数は50体まで。
SSRキャラであるセイラ、ビナ、サラは魔導契約の一部を替え、再契約している。
俺がモンスターと戦って倒しても、彼女達に経験値が入らないようにしている。
セイラ、ビナ、サラと魔導契約しているので、俺はあいかわらず強い。
SRキャラ達も、そこそこ強いので、第1層から第5層まで、難なく行ける。
「今日はこれくらいにしとくか」
宝をたくさんゲットした、霊宝石と交換できるので、嬉しい。
『キャラトピア』をログアウトし、VRゴーグルを外す。
「喉かわいたな……」
俺が部屋から出ようとしたドアノブを掴んだ瞬間である。
『ロイン』の着信音が鳴る。
「ん?」
『スマートフォン型グリモワール』の『スマグリ』を手に取り。
有名SNSの『ロイン』を起動させる。
『ロイン』に次郎からのメッセージがずらりと、送られていた。
『空音、お願いがある!』
『連絡をくれ!』
『(お願いするイラスト)』
俺は通話ボタンをタップ。
「もしもし」
「おっ! 空音か?」
「うん、そうだけど? 何かあったのか?」
「実は、折り入って話しがある。おれのギルドに来てくれないか?」
「どこだっけ?」
「えーっとな――」
そして、俺は次郎が所属しているギルドに向かった。
次郎が所属しているギルド、『赤桜騎士団』は横浜巨大迷宮の近くにある。
ギルドの前に次郎が待っていた。
「お~い! 空音!」
俺に気づき、次郎は声を上げながら、駆け寄る。
「悪いな。こんな時間に」
「いや、別にかまわないよ」
「ギルドの中に入ってくれ」
「わかった」
ギルドは広かった。
おそらく、うちの学校の体育館並みに広い。
茶色と白色を基調とした内装である。開放的でモダンな感じだ。
俺は革張りのソファーに座り、次郎を待つ。
「はい、お茶」
「ありがとう」
コップを手に持ち、ごくごく、飲む。喉が潤う。
夏という事もあり、冷たいお茶を出してくれたのだ。
コップをテーブルの置き。
「で、頼み事って?」
「その前に、質問していいか?」
「いいけど、何?」
「空音は、ギルドに所属しているか?」
「どこにも、所属してないなけど、それがどうしたんだ?」
次郎はホッとしたような表情をした後、すぐに真剣な顔に切り替える。
「頼む! ギルドに入団してくれ!!」
次郎は両手をあわせて、お願いポーズをとった。
「え?」
俺がギルドに?
「昨日、5人の魔導士が抜けちまってな。魔導士不足で困ってんだ」
「え、5人も? また何で?」
「給料が少ないとか、なんとか言ってたが、おそらく、引き抜きにあったんだと思う。結構、優秀な魔導士だからな」
次郎は腕を組、悔しそうな表情で話す。
「他のギルドにとられたって事?」
「その可能性は高い」
「なるほどな、だから俺を呼んだのか」
「そうだ」
次郎は深く頷く。
だが、いくつか懸念がある。
「確か入団試験を受けなくちゃ、いけなんだよな?」
「本来はな。だが、今回は緊急事態なんだ。のんきに、入団試験をするほど時間がない」
「そっか……」
「頼む! 空音! 入団してくれ!」
う~ん、俺なんかが、ギルドの役に立つのか。どっちかっていうと、足を引っ張りそうだし。
断るべきか?
だが、次郎に友人だ。友人の真剣な頼みを引き受けるべきじゃないだろうか?
俺は決意する。
「わかった! 入団するよ!」
「本当か!? ありがとう!! 恩に着る!!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます