第15話『準々決勝後、話し合いパート2』
「『2013年町田市魔神襲撃事件』を覚えてる?」
「う~ん、あまり覚えてないな」
「町田市に3体の
「マジで!?」
「彼がいた小学校に魔神の1体が襲ってきてね、その時に、空音くんが生徒達を救出したの。その中に彼、
「そんな重要な記憶、ないんだけど?」
「「「……」」」
次郎、強司、花輪囲さんが、無言になる。
花輪囲優美さんはコホンと
「だから、彼は強くなる事を決意し、いつか八雲空音と同じ学校に通う事を目標したのね」
「だったら、何で声をかけてくれないんだ?」
「空音くんに記憶がないと知ったからよ」
花輪囲さんは悲しそうな表情で言う。
俺は過去の記憶を探ろうとしたが、なかなか思い出せない。
「記憶が……」
それに、思い出そうとすると、なんだか胸が苦しくなる。
次郎が俺の
「無理に思い出す必要はない。空音」
「お、おう……」
いつの間にか、手が震えていた。
「空音くんは、いわば彼にとって恩人なの。だから八雲空音のファンクラブに入った」
「え? ふぁ、ファンクラブ?」
そんなのがあるのか?
「ちなみに、わたしも入っているわ。会員ナンバー38よ」
「え?」
花輪囲さんは俺のファンクラブに入っているのか?
もっと、
「コホン、だから、空音くんと同じ学校を選んだ。そして、いつか八雲くんの役に立つ存在になる。それが彼の目標よ。以上」
今野達が拍手する。
「えええ、どういうこと?」
「ま、要するに。柊木トオルにとって、お前は命の恩人。だからお空音と同じ、第3魔導学校を選んだ」
次郎は掴んでいた腕を離し、笑顔で答える。
「そういうこと。柊木先輩は空音ラブなんだよ」
強司は爆弾発言をする。
「わ、わかったよ……」
柊木先輩って、男だよね?
ちょっと、その愛を受け止める事はできない。
「で、柊木先輩のチームは強いの?」
「柊木先輩といつも一緒にいる、2人は俺と同じ『赤桜騎士団』だ。
「すごい名前だね」
「まあね。名前をいじると、キレるから、気をつけた方がいいよ」
強司がフフと笑う。
「二人とも才能があるし、強いぞ」
「わかった」
「残りの5人はAランクギルド『猫の月騎士団』に所属してるんだ。5人ともBランク冒険者でな。結構、強いんだ」
次郎が説明する。
「『猫の月騎士団』は癖の強いメンバーが多いらしいんけど、個の力はあるし、舐めていると痛い目みるわ」
花輪囲さんが説明する。
「強いんだね」
「そうよ」
花輪囲さんは頷く。
「おれから提案したいんだけど、いいかな?」
珍しく、遊園時オサムが手を上げる。
「いいぞ」
「準々決勝まで、ずっと2-2-4で来たわ。そこを2-3-3にして、ディフェンダーの空音をミッドフィルダーにするのはどうかな?」
「俺がミッドフィルダーに?」
「ああ、俺もそう思う」
「うん、ぼくも思うよ」
次郎と強司が
「空音がミッドフィルダーでいいか?」
次郎が言う。
「いいと思う」
花輪囲さんが頷き。
「いいんじゃないか」
長田くんが。
「うん、いいと思うぜ」
今野くんも。
「いいと思うぜ!」
茶良輝喜も。
「ああ、いいと思う」
遊園時オサムも賛同する。
「俺にミッドフィルダーは
「大丈夫だよ。ぼく達がフォローするから」
強司から、そう言われ。
そうだな、頑張ってみよう。
そして、俺達は2-3-3というフォーメーションで訓練を行った。
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