第4話『分体創造』



 そうと決まれば、俺はさっそく、分体をつくる事にした。


 自宅の庭に移動。


 まずは、ビナがお手本になる。

「まず、かがみで自分の姿すがたおぼえる」

 ビナは手鏡てかがみで自分の姿を見る。

「メモメモ」

 俺は『スマートフォン型グリモワール』である『スマグリ』でメモする。


「覚えたら、自分の姿を強くイメージしながら、頭のてっぺんから、足のつま先まで魔力を流し、循環じゅんかんさせる」

「なるほど」


「体がぽかぽかしてきたら、強く自分の姿をイメージする」

 ビナの体が紫色にかがやく。


「それから詠唱えいしょうするの~」

 彼女はそう言ってから、呼吸を整える。


「《ブンタイソウゾウ(分体創造Ⅲ)》」


 ビナが唱えると、床から魔法円まほうえんがあらわれ、光る。

 実に美しく複雑な魔法円である。


 魔法円の中心から、もう1体のビナがあらわれる。


「おおッ!」

「……」


 紫髪にアメジストの瞳。地雷じらいメイクにパンクな格好かっこう

 ビナにそっくりだ。

 もう一人のビナがゆっくりと目を開く。

 分体創造ぶんたいそうぞうで、できたビナが俺の方を向き。


「マスター、こんにちは~」

「おおッ! しゃべった!!」


 声もそっくりだ。


「もう一人のビナだよ。わかる?」

 ビナがもう一人のビナに話しかける。

「うん、わかる~。マスターに《分体創造》のお手本を見せたんだよね? だから、わたしが生まれた。あってる?」

「うん! そうだよ~」

「すげぇ~!」

 この分体、ちゃんと、こちらの事情を知ってる。


「素晴らしい、分体ね」

 サラも拍手はくしゅし、める。


「わたしが生まれた。どうするの?」

「食べる~」

 ビナはスライムモードになり、ぱくりともう一人のビナをらう。


「え!? 食べちゃうの!?」

「うん! 必要な分体は他にもあるから~」

「他の分体?」


「ぼくは1万体の分体をつくって、地下世界に送り込んでいるの。だから、いいの~」

「1万体もッ!?」


「空音。彼女は最強種のスライムよ。5万体ぐらい、余裕で分体をつくれるわ」


「すげぇ!!」


「へへへ、もっとめて、褒めて~」


「うん、すごいぞ~、ビナ~」

 彼女の頭をでる。サラは嫉妬しっとしたのかほほふくらませる。


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