第14話『キャラトピアへ行こう! パート2』


 目をゆっくり開ける。


 そこは見知った世界。


 風がほほでる。

 

 草木のにおいがする。


 空を見上げると太陽も燦々さんさんとし、雲もない晴天せいてん


 そして、現在は春という事で温かい。

 

 石畳いしだたみんでみる、感触かんしょくもあいかわらずリアルだ。


 周囲しゅういをキョロキョロ見る。


 レンガなどでできた建物。

 

 地面には石畳がめられている。


 馬車が通る。


 様々なプレイヤーがアバターを通して、操作している。エルフのような姿の者、猫耳美少女やうさ耳美女、着物を身につけた鬼人や、ドワーフもいる。

 中世ヨーロッパ風で、ケルト音楽が流れてきそうな風景である。

 まさに、ファンタジー世界。


 登録者4000万人を超えるアプリなだけあって。

 利用者が多い。

 多くのプレイヤーとキャラが、目を輝かせながら歩く。


「さて、待ち合わせの所に行くか」


 俺は早足で向かう。

 徒歩とほ5分に大きな銅像どうぞうがある場所があるのだ。


「あ、いたいた」


セイラとウネちゃんが待っていた。

だが、3人の怪しい男達がセイラとウネちゃんに近づき、声をかけていた。


「お姉さん。綺麗きれいだね。おれと食事でもしないかい?」


拒否きょひする。なぜなら、わたしには、主様あるじさまがいるからだ」


「そうよ! ワタシもマスターがいるの!」


「いいじゃん、いいじゃん。そんな事、いわずに。お兄さんと遊ぼうよ」


「そうだぞ。おれ達なら君らを楽しませてあげられぜ!」


 そういって、下品にゲラゲラ、笑う。

 おいおい、人のキャラに口説くどくのは御法度ごはっとだぞ。

 何を考えてるんだ、あの男達は。


 俺はウネちゃんとセイラを助けようとした瞬間だった。


「ちょっと、あなたたち!」


「何だ?」


「その子達、嫌がってるじゃない! それにプレイヤーのキャラを口説くのは御法度なのよ! わかってるの?」


 見知った人だった。あれは、クラスメイトで学校の美女トップ5に入っている、花輪囲優美かわい ゆみさんじゃないか!


「へいへい。お嬢ちゃんが、俺達の相手してくれるのか?」


 怪しい男が彼女に触れようとしたが、花輪囲優美さんはその手を払う。


「やめて!!」


 これは助けに行った方がいいよな?

 だが、思うように体が動かない。

 俺、ビビってるのか?


「いーい、あなたたち。私はこの『キャラトピア』の制作者の娘よ。悪さすれば通報して、『キャラトピア』を二度と、使えなくするわよ?」


 男性、3人トリオに向けて、ビシッと指をさす。

 

 マジで!? あの『キャラトピア』の制作者の娘さん!?


 3人トリオは、わたわたとあわてる。


「ちょっ! それは、こまるよお嬢ちゃん」

「そうだぜ、別にそこまでの悪さじゃないだろ?」

「そうだそうだ!」


 3人が慌てるのも無理はない。

『キャラトピア』の有用性ゆうようせいを考えたら、ゲームを利用できなくなるのは、非常に困るだろう。花輪囲優美さんはギロリと男達をぬらむ。


「わかった。通報する」

「「「ううッ!」」」


さあ、どうするんだ? 男達よ。


「で、どうするの?」

腕を組み、低い声で男達をめつける。


こんなにキレている花輪囲優美さんを見たのは初めてかもしれない。

女子が本気でキレると怖いな。


男達はこれ以上やってもが悪いとさとり。


「……わかったよ」

「……降参だ」

「……許してくれ」

そういって、頭を下げる。


花輪囲優美さんは鬼のような形相ぎょうそうから、天使スマイルに。


「わかればよろしい! ちゃんとルールやマナーを守る事、いいわね!」

「「「はい!」」」


そういって、男性トリオ達は、バタバタと逃げ、去る。


すごいな!

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