八雲空音は1000連ガチャを回す

ココ異世界

第1章

『プロローグ』


 俺、八雲空音(やぐも そらね)は世界の管理者かんりしゃ『ワールドアドミン』が設置したといわれる、巨大なキャラガチャマシンの前にいた。


 巨大なガチャマシンは長方形で、馴染なじみのある形をしている。


 ガチャマシンの中には、カプセルが入っており、全て白い。


 どのカプセルにどの『キャラ』が入っているか、わかないようになっている。

 透視とうし鑑定かんていスキルはもちろん無効むこうだ。



 右側に目を向けると、風神様の石像が鎮座ちんざ


 左側には雷神様の石像も鎮座し、両者ともども俺の様子をうかがっていた。



 緊張きんちょうしないわけがない。俺がここに来たのは小学生2年生以来である。

 あの時は、ただ、ガチャマシンを見に来たくらいだ。ガチャを回しに来たわけじゃない。


 俺は、背負せおっていたリュックをおろし、中から最新の『ノートパソコン型グリモワール』を取り出し、開く。

 名称が長いので『パソグリ』と呼ばれている。


 その『パソグリ』を素早すばや操作そうさ


 霊宝石れいほうせきの数、約301万個。


『1回、回す』

『10連、回す』

『100連、回す』

『1000連、回す』


 俺はタッチパッドで操作。


 右手がプルプル震えた。


 俺は深呼吸しんこきゅうをしてから、ふるえる手で『1000連回す』をタップ。


 ガチャマシンは虹色にじいろかがやき、部屋中、光で満たされる。


 そして、ガチャマシンの穴からカプセルが、次々と出てくる。


 たくさんある、カプセルを見ていく。


 SSR『忠義の守護光聖竜セイラ・シュバイナー』

 SSR『暴食の暗黒王女スライム ビナ・ヴァイム』

 SSR『嫉妬の火炎竜女帝ロザリンヌ・ベルル3世』

 SSR『純潔の天女人魚マリン・チャイム』

 SSR『勤勉の白銀魔狼ルグ・フェンリル』


 俺は思わずガッツポーズと取った。


 5体のSSRキャラを引き当てたのだ。


 普通ならありえない事である。


 5つの虹色に輝くカプセルから未解放みかいほうのキャラ霊石を取り出し、見てみる。


 SSR『忠義の守護光聖竜ガーディアンホーリードラゴン』


 キャラ霊石は金色のオーラをまとい、温かく、輝いていた。


 俺は感動した。


 まさか、SSRキャラを手に入れる日が来るとは。


 俺には特別な腕輪うでわを持っている。その効果こうかで、レアなキャラを引き当てる確率、爆上ばくあげである。


 俺はそれらを『ノートパソコン型グリモワール』である『パソグリ』に転送。


 本当は、ゆっくりカプセルを開封かいふうしたかったのだが、時間がない。


 後日、ゆっくり解放すればいい。


 俺は素早すばやく『パソグリ』を操作。


 メール欄にはあるモノが送られていた。


 俺はその送られたアイテムを見て――泣いた。


『UR悪魔キャラ交換チケットの権利』


 それは俺がのどから手が出るほど欲しかったものだった。


 今は特別キャンペーン中だ。


 期限は今日から三日目の夜12時まで。


『UR悪魔キャラ交換チケットの権利』


 期限内に1000連ガチャを回すと、URのキャラチケットの権利がもらえるのだ。


 後、俺は血結晶を100個を持っている。

 これをキャラ交換所で『UR悪魔キャラ交換チケットの権利』×1と『悪魔の血結晶』×100個で交換できる。

 そして、俺はあるキャラを選ぶ。


 UR『蒼炎そうえんノ悪魔サラ・D・ブルフレイム』と交換しますか?――――――【はい】【いいえ】


 もちろん【はい】だ。


 UR(ウルトラレア)である『蒼炎ノ悪魔サラ・D・ブルフレイム』を選ぶ。

 すると辺り一面が、あおく光る。

 そして、俺の手に、『サラ・D・ブルフレイム』のキャラ霊石が美しく輝く。

 綺麗きれいなのだが、そこはかとなく妖艶ようえん蠱惑的こわくてきオーラをまとっている。



 1000連ガチャを回した事により、俺の人生が――いや、世界にとってもすさまじい影響えいきょうを与えるなんて、この時の俺は想像もしてなかった――

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