蒼き焔の剣士の伝説
爪楊枝亭 カムイ
第1話 蒼き焔を操る師弟
「はあ! やあっ! せいっ!」
アオバが操る刀から海のように蒼き焔が現れる。それは小さい龍の様な姿になり刀に纏(まと)わりついている。
「甘いな…。我が弟子よ。もっと刀と焔を一体化させるのだ。」
ソーエンが操る刀から空のように蒼き焔が現れる。それは二頭の龍の姿になり刀に纏わりついている。
「流石は師匠ですね! 私では中々…上手に龍焔剣が扱えないです。」
「俺様は師匠だから…な。これくらいは出来ねばならんよ。」
ギルドで使用されている訓練用の木偶人形が無惨にも黒焦げの消し炭になっている。ギルドに所属せずに流浪の旅をする二人にとっては賃金は生命線である。
「師匠、さすがに黒焦げの消し炭は…弁償しろと言われるのでは?」
「その瞬間(とき)はその瞬間の判断をするのさ。それが俺様流よ。」
もっともなことを言うソーエンだが、内心は不味いことをしたのではないかと冷や汗をかいている。
「お主たち…お主たち二人に依頼がある。」
ギルドマスターのつるつるスキンヘッドでボディービルダーのようにムキムキボディーのオヤジ…ムッキーがソーエンとアオバの前に現れた。
「まさか、木偶人形の弁償ですか?」
「アオバ…依頼だと言っておろう。なんの依頼だ? 俺様は安い依頼は請け負わない主義でね。」
主に修行による費用を捻出するために高額依頼ばかり請け負っているのが蒼き焔の剣士の二人である。
「鍛練用の木偶人形がいくつ壊れてもかまわねえよ。問題なのはヘル・ウルフの大群が近々迫ってくるとの偵察部隊からの報告だ。すまねえが和国を守るために蒼き焔の剣士の力を使ってくれないか? 5000万ジェル払うからさ。頼むよ。」
「師匠…どうしますか? 和国で産まれ育った私はこの国のためにこの力を使いたいと決めています! どうか師匠…力を使う許可を下さい!」
「アオバ…お前の故郷であったな。ふむ…そうか。6500万ジェルならば我が力を扱うことを認めようではないか。ただし…アオバ。お前はまだ実戦には参戦してはならない。俺様の闘いぶりをその瞳に焼き付けておけ。」
「6500万ジェルかあ…。仕方ない払ってやるぜ! その代わりにみっともない戦闘するんじゃあないぜ?」
「まかせろ」
こうして、ヘル・ウルフの大群討伐にソーエン単騎で挑むことが決まった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます