第27話 ラーズィーの痛み
魔塔は人類に対しての抑止力である三傑の1人、魔塔主ウェルテクスを象徴化した存在、そんな魔塔を支える
「十徳武器魔法、その名の通りうちの得意武器10つのブレンドや」
十徳武器魔法
灰簾石でできた取っ手とよく研かれた刄でベルゼブブを攻撃していく。リーチがあるため、ベルゼブブの間合いに入らずとも攻撃が通る。
「なんや硬いなぁ、久々に楽しく踊れそうやわぁ」
そう言うとベルゼブブが急に間合いを詰めてきた。瞬間にダガーが左手に握られており、
「そな驚かんといてや、十徳武器魔法
両剣を回転させて1発お見舞いしてやろうと思ったが、ベルゼブブが回避する。木聯は銃を魔法で出現させる。その形状はフレアガンと呼ばれるものであった。6発撃ったが全て跳ね返されるか、回避された。
「十徳武器魔法
「この中でも貴様は最も武道に秀でた魔法使いだな」
ベルゼブブの話に木聯は一瞬ポカンとした表情をしたが、すぐに胡散臭い笑みを張りつける。
「
「魔力を養分として魔力宝石となる植物のことか?」
「せやせや、あれはほんま
(コイツ、ペラペラとよく喋るな)
ベルゼブブは一歩も動かずに木聯の話を淡々と聞く。その間にめり込んだ銃弾を抜き取り、再生する。
「うちは種に目をつけた、どうやって種は出来るのか、その特性は? 調べに、研究に、仮説に、実験、そっから導きだした
十徳武器魔法
「過去に至る現代まで、武器魔法は氷やら炎を魔法で出して変形させて武器として使っていた…これは二度手間や、材料が魔力以外に原始的なもんがいるなんて面倒事や……うちの編み出した武器魔法”ディアンケヒト”は種ちゅう魔力宝石を頭ん中のみで構築、そのまま武器へと変型させる」
木聯の周りには無数の針が宙を浮いている。木聯は玉髄の銃をしまい、月長石の両剣を構える。
「長ったらしい愚痴につき合ってもろうて悪いなぁ、こっちもやっと芯
話の途中で木聯が動く。浮遊している針も一斉にベルゼブブ目掛けて飛んでくる。ベルゼブブが布で払い蹴散らす。その直上で両剣を直下に振り下ろすが、ベルゼブブが触れると刃が粉砕した。舌打ちをしながらも持ち手を蹴って浮遊する。
十徳武器魔法
「金槌はなんか打っとかんといけんよなぁ」
そう言って
十徳武器魔法
「!」
「
ショットガンの銃口をベルゼブブに向け、引き金を引く。銃声が鳴り響く。
「…ほんま可笑しいわぁ、そやから神は嫌いなんや」
土煙から現れたベルゼブブは傷など負っておらず息も上がっていない。
(うちも時間稼ぎの萎え萎え攻撃言うても傷すら与えれんなんて恥やぞ、さてどうしたもんか…)
ベルゼブブと木聯の間に静寂が訪れると、頭上からサラマンダーが落ちてきた。木聯はアロエの様子を見ると、ルキフグスに
「殺すんじゃなかったのか⁉ 弱気だなぁ!!」
ルキフグスの瞳が煌めいたのを遠くからでも見逃さなかった木聯がアロエとルキフグスの間に割り込む。
十徳武器魔法煙水晶の長刀•紅水晶の逆刃刀
「虐めんといてや」
二刀流でルキフグスの拳を受け止める。寸隙にアロエが杖を向ける。
「精霊術シルフよ、その者を引き裂け!」
ルキフグスの脇腹に旋風が起こり、グチャグチャと音を立て裂く。傷が入ったことに安堵した2人を無情にもベルゼブブが介入し、叩き落とされた。
「ケホッ! ケホッ!」
地面に叩き落とされる直前に防御魔法を展開し落下死を防いだ。土煙で目が眩む。
「アロエ、お前どんだけ精霊術
「サラマンダー完全顕現…と、力だけ借りた…くらいかな」
「結構やな」
しゃがみこんで咳き込むアロエの背中を擦りながらベルゼブブとルキフグスを見る。ベルゼブブは相変わらず仏頂面、ルキフグスは薄笑いをしている。
(腹立つわー、あいつはまだ来んのかい⁉)
戦場を見渡して策を講じる。後ろから悪魔が襲いかかってくるが、逆刃刀でぶったぎる。部下の魔法使いに怒号を飛ばす。
「悪魔くらい1発で殺せえや!!魔法使いの名折れやぞ!!」
「「「「すみません!!」」」」
足元に転がった悪魔を見て、木聯は何かに気づいた。
「アロエ、クヴァレが捕縛した天使どうなったか報告受けとるか?」
「実験台になってるとは、オリゴ様から聞いてるよ」
「悪趣味な…あんさんらおもろいことするやん、まさか、強奪した天使に抽出した堕神の力を無理に定着させて神
険しい顔で二柱を睨む。二柱は飄々としていて、さらに木聯の怒りに拍車をかける。
「もっと不愉快にさせてやるよ!!」
ルキフグスがそう言うと魔法使い達が相手していた悪魔の力が急激に向上したことを感じとった。悪魔達は魔法使いに追い討ちをかけ、遂には戦闘不能者を出してしまう程に。
「暴走してない?」
「せやな、使い捨ての駒としか思ってへんのやろ…ほんまに不愉快な奴らや」
「!木聯、」
アロエが耳に手を当てて報告を受けると喜ばしい顔をして木聯の名前を呼ぶ。やっとか、と呆れた言葉を吐く彼だが、明らかにほくそ笑んでいる。
「
聖女という言葉を聞いた魔法使いは我先にと一目散に逃げ出す。木聯とアロエも少し離れて状況を見る。それと入れ替わるように現れる木聯と似たような黄みの強いシャンパンゴールドの緩く波打つ髪、宝石眼の瞳を持つ女、肩の開けた黒のミディドレスにオーバースカートだけのシンプルな装いの女が悪魔と二柱の目の前に現れる。
「情けないなぁ」
「邪魔もんいなくてやりやすいやろ、思う存分ぶちかましぃや」
2人が見守っている中、味方が誰1人といない戦場に聖女が立ちすくむ。
(あれが聖女、たった1人で何をする気だ?…)
ベルゼブブが警戒していると、聖女が胸の前で両手を握る。すると、商店街全土に魔法陣が描かれ、雲の隙間から
「
そして天空にも魔法陣が出現して
「さすがイオ大教会聖女、規格外だ」
土煙のせいで視界が悪いが、聖女の魔法は商店街も何もかも跡形もなく消失させた。その戦場で無傷の聖女がニヒルな笑みで呟く。
「白星挙げて悪いなぁ、
イオ大教会所属
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます