第35話:無言電話。
無言電話ってありますよね。
その撃退法です。
僕と麻美子ちゃんが新婚さんの頃、マンションに住んでる時、
毎土曜日の昼になると決まって家電話に知らない人から電話がかかって
くるようになったんです。
麻美子ちゃんが出ると、相手は何もしゃべらない・・・時々電話の向こうで
喘いでるようないやらしい声が聞こえたりするんだって。
「どちら様ですか?」
って聞いても何も言わない・・・。
で、切るとまた電話がかかってくる・・・そういう繰り返し。
麻美子ちゃんが怖がりましてね。
それからは、土曜日の昼頃にかかってくる電話は僕がとることにしたんです。
電話をとって、
「誰だ?」
って聞いてもやっぱり電話の向こうの人は何も言わない。
たぶん、そんなことする人は同じマンション内の人か、僕たちが
新婚だって分かってる人・・・もしかしたら身近な人かもしれない。
でも、相手がどこの誰だか分からない以上、対処のしょうがないわけで、
警察に届け出たら、逆探知とかしてくれるんだろうけど・・・
それも考えるには考えた。
でも、僕は思いついたんです。
気にして相手にするからダメなんだって。
そいつから電話がかかってきた時、わざと受話器を電話機の横に置いたままにして
麻美子さんに向かって
「このまま放っておけばいいよ」
「受話器が上がったままなら向こうの電話料金がどんどん加算されていく
だけだから・・・向こうが損するだけだからね」
って電話の向こうに聞こえるように言ったんです。
それからかな・・・土曜日の昼に無言電話はかかってこなくなりましたね。
でも、この方法が全部の無言電話に通用するかどうかは分かりませんけどね。
これはひとつの対処方法として、成功した例です。
若い奥さんってのは、変質的な人に狙われやすいのかもですね。
つづく。
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