第22話:条件反射。

あれから何度か麻美子ちゃんと連絡は取り合ってたんですけど、 だけど

エッチのことは話題には上がらないまま、僕も何も聞きませんでした。

普通に話して笑った・・・。

なにごともなかったように・・・アホか。


だけど万が一ってこともあるから僕は一応、あわてないようホテルを

探しておいたのです。


そして次の土曜日、デートの日がやって来て麻美子ちゃんを乗せた車は

国道を抜けて東へ走っていたのですよ。

実はそっち方向にホテルがあるんです。

僕の腹は決まっていたとも言えず、躊躇ためらいもありました。


僕の彼女とか言え、相手は未成年で女子高生・・・エッチなんか

しちゃっていいんだろうかと心の葛藤がありましたね。

だけど、このままなにもないってのは、やっぱり不自然です。


だから、あとは麻美子ちゃん次第。


たわいもない話で盛り上がる・・つ〜かいつもよりノリが悪いような・・・。

お互い意識してるからか、いつになくテンションも低め。

そして僕は焦るばかり。


(もう少しで目当てのホテル・・・なんだけどな)


僕の心拍数が少しずつ上がっていく。


(今、麻美子ちゃんからの返事をもらわないとホテルを通り過ぎちゃう)


聞くべきか・・・。


すると麻美子ちゃんが「お腹が痛い」って言い始めたんです。


「お腹が痛い」その言葉は以前にも僕は聞いたことがあったんです。

あれは初デートの時でした。

車の助手席で麻美子ちゃんは「お腹が痛い」って言ったんです。


「大丈夫?」って聞くと 「緊張するとお腹が痛くなるの」って。


そのことを僕はよく覚えていました。

だから麻美子ちゃんは今緊張してるんだ。

じゃ何に緊張してる?

ってことは、これから起こるであろうことに麻美子ちゃんは緊張してるんだ。


これから起こること。


すなわち麻美子ちゃんは暗黙のうちに、僕に「ホテルに行っていいよ」って

言ってる意思表示・・・それがお腹が痛いって反応。

条件反射ってやつ。


それだけのことを僕は一瞬で悟ったのです。


彼女のお腹は正直なのだよ。

今だよ僕、チャンスだよ、行け、行け。


僕は車のハンドルを左に切って国道から外れてホテルのあるほうに

入って行ったのです。

もう止められません。


ホテルの駐車場に車を止めると、僕は一応麻美子ちゃんに聞いてみた。


「入ってもいい?」


麻美子ちゃんが言いました。


「怖いよ〜」って。


つづく。



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