第二章「諜報」
第5話『新生・特捜専対の秘密捜査官たち』
警察寮の畠山の部屋は深夜にも関わらず明かりが灯っていた。
寝返りを打ち、なかなか寝付けない畠山正。畠山はひとりごちる。
「身分をいっさい消すと、言われてもね」
スマホを取り出す正。
電話番号を打ち、電話をかける。
「あ、もしもし父さん」
法務大臣畠山正晴が応じた。
「正。今自分が何の仕事についているか考えろ。現職閣僚の携帯は盗聴のリスクがあるから切るぞ」
畠山大臣は言い放つ。
日本の電話回線は三沢基地の米軍エシュロンによって傍受されているからだ。
「そんな」
「……一つだけ教えてやる。要件は察しがついている。命に代えても与えられた使命を果たせ」
「……わかったよ父さん」
プツンと、通話終了。
続いて、村上遥に電話をかける畠山。
「夜分遅くすみません」
「いいよ、暇してたし、」
「例の話、志願しようと思うんです」
「そっかぁ」
「親父から言われました。与えられた使命を果たせと」
電話する口実が欲しかっただけの畠山だが……
「村上先輩は受けるんですか?」
「もちろん、オタ活にとっても情報をデリートできるのは都合がいいしね」
「なるほど、すたぷりですか」
「男の子ですたぷり知っている子がいるとはね」
「女性向けだとツイストとかもわかりますよ」
「ショートメッセージサービスでID送ってよ」
「分かりました」
月があおる。夜は更けていった……
* *
朝。警視庁公安部自衛隊監視班のオフィスにて身辺の整理をするマル自のメンバーたち。
田村が様子を見に来る。
「よーし、仕分けは終わったか?」
「はい!
「これから警視庁の所有する施設まで車で君たちを運ぶ」
畠山が訊ねる。
「中央指揮命令センターじゃないんですか?」
「今は言えない。これから行く場所については特定秘密に当たる」
ハイエースという車で警視庁を離れるマル自たち。
「居眠りしていてもいいぞ。あまり道中の風景を見られたくないからな」
一同が軽く目を閉じる。
「君たちは死亡扱いになってる。次に目覚めたときは別人だ」
「経歴抹消か……さよなら、畠山正」
いつの間にか眠りに落ちるマル自たち。
ハイエースは東京のどこかにある建設現場に入り、車用エレベーターで地下の秘密基地へと入り込む。
* *
……たどり着いたのはロッカールームであった。
各々のロッカーの前に立ち、開けると、ロッカーの下に金庫がある。
地図の裏面に書かれた数字の羅列で金庫のダイヤルを開けると、警察手帳、クレジットカードにスマホ、銃、銃弾、財布、免許証が入っている。
法務省に根回しさせて偽の戸籍で作られたものだ。
「前世以来だな」
ロッカールームのテレビモニターに公安警察の赤坂理事官が現れる。
彼は滅多なことを除いて、秘密捜査官たちと直接会うことはない。
「そのスマートフォンは強力な暗号通信で守られている。階級はそのままだが君たちは新しく生まれ変わった。君たちは秘密捜査官だ」
田村秀俊が訊ねる。
「我々のコードネームは?」
赤坂は口を尖らせた。
「SPⅠだが?」
その響きに、昔の戦隊ヒーローを思い出す桜佑。
「なら、公安事案A27号特別捜査本部諜報専従対策室、縮めて
SPI──セキュリティポリスインテリジェンス!
燃えるハートでクールに戦う公安秘密捜査官たち。彼らの任務は、自衛隊に侵入したクーデター勢力と戦い、日本の平和と安全を守ることである!
クーデター:警視庁公安部自衛隊監視班 松コンテンツ製作委員会 @toyasan_japan
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