第24話ページ47.48 上芝の元嫁登場

て陳列ケースを賑わしていた。

「一つはお母さんに食べてもらって。このケーキは君たちがお金を出し合って買ったことにして」

 兄弟二人は森山さんありがとう、と声を揃えた。奇妙な親子関係だけど、誰もが不幸せになる事じゃないからこのまま秘密で居た方が良いなと健三は三人を見送った。

「権田さんこんにちは、野中と申します」

 誠と美里、上芝が一緒に買いに来てくれた日から十日後の午後。年齢は健三より若く見える。会社の事務服で、気の強そうな目をしていたが、予想以上に丁寧に丁寧に話し出した。誠と美里の母で上芝の元妻の綾だと自己紹介された。上芝と子供達を引き合わせたことで怒られるのかと健三は身構えた。

「権田さん、この度は誠と美里と上芝の事でご迷惑をおかけしました。ありがとうございます。ケーキも美味しかったです」

 健三が返答に窮していると綾が続けた。

「あれから上芝から連絡がありました。誠と美里の事も話をして、ネット販売の事も聞きました。上芝が子供たちの小遣いにでもなればと思って買ってくれてたんですね。ギャンブルを止めた事も聞きました。全て権田さんのおかげで出来た事だとも言ってました」

 未だに綾の来店の意図が読めない健三は返答に窮している。

「すみません。私の言い方が悪かったですね。権田さんに上芝とやり直す事をご報告に来たんです。誠と美里にお父さんは生きていたんだよ、と正直に話して上芝も実は森山は偽名で二人を応援したくてネットで商品を買っていた事。ギャンブルを止めた事」

 健三の心は少し落ち着いた。これで怒られることはなさそうだと。

「上芝に聞いたんですか?綾さんには秘密にしておくような事を言ってたけど」

「彼はこれからの子供達の事、私との約束もあって隠し事はダメだと言って、正直に話し

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