ノンフィクションは甘くない
D
第1章 プロローグ
神界にて。
「うーん、どうしよう」
装飾の施された椅子に腰かけながら、苦悩している少女がいた。
「おや、イシス。君が悩んでいるなんて珍しい。233年ぶりかな?」
「あ、ゼウス様!実は今さっきカミナリの対象になった人間の情報を呼んでいたんですけど……」
「ふむ、どれどれ……」
ゼウスと呼ばれた無精髭の大男は、イシスと呼ばれた少女から資料を受け取り目を通す。
そして喉を唸らせた。
「これは……万が一に備えて念入りに破壊しなくてはな」
資料を返してもらったイシスは、何度も見たその人間の情報に再び目を通す。
そして苦虫を噛み潰したような表情をしながら後頭部をポリポリと掻くと。
「どこに飛ばそっかな……もうアシュランに丸投げしちゃおっかな」
「彼奴ならどこかに出かけていていなかったぞ」
「えー! 何で肝心な時にいつもあいつ何で肝心な時にいつもアイツはいないのよ。もういい、アイツの管理してる星に送ってやるわ!」
「そんないい加減な決め方をしていると、またアシュランに怒られるぞい?」
「うっ……私の方が先輩なのに」
頬を膨らませ再び資料とにらめっこをするイシスを見ながら、ゼウスは無精髭を撫でる。
「やれやれ、何も起きないといいが……」
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