第3話 チュートリアル1

 マイルームに入る。

 真ん中にテーブルとソファが置いてあった。一見すると会社の応接室みたいだ。


 テーブルに、『ソファに座ると、自動的にチュートリアルが開始されます』というメモがある。

 言われた通りに、座ると――


『ようこそ! ちょいダンへ! ココは、今までにないコンセプトで作られたエンターテインメント空間です!』

 そんなナレーションがいきなり始まり、目の前の空間に映像が現れる。


「おいおい、空間投影かよ。どんだけなんだ?」


 チュートリアルはまず、ダンジョンについての説明から始まった。


 東京大手町に発見されたダンジョンは異世界型で、入口以外は地球上のいかなる場所とも干渉していない――とのこと。つまり、完全な異空間なのだと説明される。


 現在、確認されているだけで、このダンジョンは五階層まであるらしい。ただし、プレオープンで一般開放されているのは一階層のみ。それでも広さは六十平方キロメートル。山手線内の面積とほぼ同じ。解放されている洞窟の総延長距離は一千キロメートルというから驚きだ。


 ダンジョンの入口から徐々に枝分かれして、全部で二百ほどの洞窟からできているらしい。中間地点以降、今度はしだいに合流し、最奥部さいおうぶで一つになる構造なのだそうだ。


「最奥部で一つ? そこにエリアボスとかいたりして……」

『現在、最奥部のは閉鎖されております』

「おいおい――」


 チュートリアルはまだまだ続く――


『ダンジョン内には一定間隔でワープポイントが設置されており、そこにある白い石像に触れると、別のワープポイントに瞬間移動できます』


「……まあ、いまさら、何があっても驚かないけど」


 どの地点にワープポイントがあるのか、専用アプリで確認できるそうで、『ダンジョンへ入る前に自分のスマホにダウンロードしてください――』とのこと。また、そのアプリでどの地点にワープできるのかも選べるらしい。


『ダンジョン入口にもワープポイントがあります。ダンジョンから退出する際は、お近くのワープポイントから、ダンジョン入口までワープすると便利です』


「なるほど。たしかに千キロメートルなんて、移動だけで大変だもんな」

 さすがにそのあたりは考えてあるようだ。


 それにしても、ワープとは――どんなテクノロジーが使用されているのか、まったく想像もつかない。


「まあ……異世界――ということで、すべてヨシとしよう」

 こういうことは、考えるだけムダだ。


『一度でも利用したことがあるワープポイントへは、次回からワープ可能になります』


 つまり、いろいろとダンジョンを探索し、ワープポイントを見つけていけば、行動範囲が広がるということだ。それだけでも冒険心がくすぐられる。


 また、気に入った狩場を見つけたら、次からダンジョン入口のワープポイントより、その場所に一番近いワープポイントを利用することで、移動時間の短縮もできる。


 次にダンジョン内でのルール説明となる。

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