第5話

コトンっ!


静寂な部屋に音が鳴る。


何だろう…と音のした扉を見やる。


「受話器?」


そうそこにあったのは受話器だった。


プルルルルルっ!


突然鳴り響く着信音。


電話‘に出ろってこと?


恐る恐る出てみる。


「あー、もしもし?良かった、繋がったみたいだね」


聞こえるのは、男の子の声。


「だ、誰ですか?」


「そうだね、まずは自己紹介だね、僕はルー、よろしくね、絵萌」


「え?なんで私の名前を…」


「そっか、声だけじゃわからないよね、でも会った事はあるよ、きっと顔を合わせれば思い出すよ」


「は、はあ…」


一体ルーは何者なの?


会った事がある?…でも何故か彼の声が懐かしく感じる。


「ねえ」


「なに?」


いきなり、ルーが改まる。


「絵萌って今幸せ?」


「え?」


私はこの世界の今までを振り返らなくても答えは決まっている。


「幸せだよ、すっごく」


するとルーは黙り、沈黙が流れる。


何でだろう…?


すると


「そっか、わかった!」


と無邪気に答える。


「そろそろ、あの悪魔が帰ってくるから、また今度話そうね!」


「え?」


ルーの言葉を合図に受話器はポンっと音を立てて消えた。


ルーも悪魔;の類なのだろうか。


コンっ…コンコンコン、コンコンコンコン…コンコンっ!


彼が帰ってきた合図だ。


私は扉を開ける。


「おかえり、ベータ」


そう言っていつものように口付けを交わした。


To Be Continued

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