僕と君と、俺とお前と、
鹿
A.僕と君と、俺とお前と、
俺があいつと出会ったのは、15歳の春。
僕が君と出会ったのは、16歳の春。
それは、また神とやらの定めたものかもしれないし、或いは無為自然の成り行きの次第なのかもしれない。
それは、僕にとっては運命的で、君にとってはなんでもないものだったかもしれないね。
なんであれ、俺にとってはこの出会いは、いくつもある無意味な人と人との交差の一つ。絡まることのない二糸の触れ合い。
でも、僕には離すことの出来ない、命綱にも等しい巡り合いだった。
それは、ほんの小さな遭遇。
僕と君と、
俺とお前と、
ふたりぼっちの、ものがたり。
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