試作機2号 「KIKUICHIMON−G」
衰退の一途を辿る日本の伝統的産業を守る為、経済産業省に新設された「先進工芸室」。
伝統工芸の技術でロボットのボディを製作。
AIはボディに用いられた工芸の技術、歴史、文化を学習。
自らスポークスマンとなって工芸の魅力を世界に発信する。
まさに「歩いたり喋ったり売りつけたりする工芸品」
世界中に日本の先進技術と伝統技術を示し、また衰退する工芸業界に新たな需要を生む一大プロジェクトである。
試作機2号のコードネーム「KIKUICHIMON−G」
そのボディには日本固有の鍛金技法と言われる「刀鍛冶」の技術が用いられている。
いぶし銀のボディは熟練刀匠による洗練された業物。
「玉鋼」を熱しては叩き、幾重にも折り返され鍛え抜かれたそのボディ。研ぎ澄まされた刃文が美眩く輝き美術品まで押し上げる。
機能性と美の融合、武士の魂と先人の培った技術の結晶。
「電圧正常、AIプロトコルオールクリア。室長、行けます」
「よし、試作機2号KIKUICHIMON−G、始動!!」
ウィーン、ウィ、ウィ、ブーン······
「······は? あたしに言ってんのか?」
「え?」
「あたしに言ってんのかって聞いてんだよっ!!」
「え、めちゃキレてる」
「室長、シャットダウンします」
「ぶった斬るぞ!!オッサ······ン······」
ブーン、ウィ、ウィ、ウィーン······
「······試作機2号、凍結」
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