ルペル・セナ
ラスク
第1話 はじまりの朝
ルペル・セナ
夜の終わりを告げるかのように
外が白み始めている。
カーテンを閉め切り、ゴミと教科書が散乱した薄暗い部屋の中、布の擦れる音と共に何者かがむくりと起き上がった。
街角にある屋敷の一つの部屋に明かりが付く。
部屋の中に何かを破る音、何かを貪る音、そしてカチカチという何かを押す音が響く。
暫くすると、部屋には再び静寂が訪れた。
………………。
遠くから響くサイレンの音で目が覚めた。
腕を伸ばし、ふぁぁ…あ…とあくびをした後にベッドから起き上がる。
枕元にあるスマホに手を伸ばし、
電源ボタンを押す。
スマホの電源が入るまでの間に
枕元にある部屋の電気ボタンを押した。
部屋の中が明るくなり、まぶし…と呟く
ベットのサイドテーブルに置いておいた袋入りの菓子パンの袋を破り、口にした。
甘ったるいけれど、嫌いではない。
起動したスマホの画面にはオオカミのイラストを背景に白い文字で04:15と表示されていた。
またもや枕元に置いてある古いゲーム機を手に取り、ボタンを押す。
ゲーム機のボタンを押すと
見慣れた画面に幾つかのゲームが表示され、その中の一つを起動した。
ただ無心にゲームをしている。
ゲームをしたいわけではない。
ゲームは楽しむためにあると言うのに。
再び眠りに入ることはできないことがわかっているし、自分にできることはこれくらいしかないからだ。
暫くすると睡魔が襲ってきた。
視界がグラリ、グラリと揺らぎ、ゲームの音が遠ざかっていく。
意識はここで途切れた。
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